藻谷浩介氏は、東日本大震災を契機とした自粛ムードを経済の逆回転への
想像力が働いていないことに嫌な予感を吐露されている。
無駄な消費がはげ落ち、憑きものが落ちたようにライフスタイルが変わっ
てしまうと恐るのだ。
神戸の震災のときでも、大阪は賑やかだったという。神戸の人々も何も諌
めなかったと。

確かに、GDPに占める個人消費のウエイトは高い。識者は経済の観
点から、歌え、踊れ、飲め、金を使えと囃し立てる。
こうした経済的観点に重きを置く発想を見直そうと立ち止まって考える必
要が、今回の震災の教訓なのだと思うのだが、藻谷浩介氏の発言には肯す
ることができない。
逆回転するのだ。無駄な消費がはげ落ち、憑き物が落ちたように、ライフ
スタイルが変わらなくてはならない。

須田慎一郎氏は、百貨店、総合スーパー、ファミレスが日本からなくなる
日の到来をもって、藻谷浩介氏が恐れている内需衰退を断じるのであっ
た。
日本は、給料が上がらない中で、総中流マインドから新下層マインドへと
移行しており、大災害前から、他に負けまいと背伸びして消費しなくなっ
ていると断じられる。
凄まじいお買得感なしには購買しない消費マインドが定着してしまってい
る。内需の衰退を前提に経済を捉えるか、とてつもなく欲しくなるもの
の、開発が待たれるのだ。

そういう意味では、大震災は破壊から創造への天の采配なのかもしれな
い。
いたずらに、消費の先導を唱えるのではなく、来るべき時代に相応しいラ
イフスタイルの提案こそが明らかにされるべきなのだ。
百貨店も、GMSも、その点が見い出されなければ、脱落する外ない
のは論をみない。
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