12日の夕方、久々に二子玉川駅を降りた。7年前の同じ職場の後輩に定年を祝ってもらう

ためだった。駅近くの地名を冠した寿司屋での宴席であった。


百貨店卒業生としては珍しい部類の職業にに入るのだろう。「行政書士」の名詞を渡しても、

在学中にこの資格をとっていた10年下の後輩以外には、この肩書きにピント感じている者は

いなかったが、過去の回想に走るよりも、これからを、そして「行政書士」とは何ぞやを力説す

る自分がいたのだけは確かであった。


今日集まってくれた一部の人とは、半期に一回のペースで各自職場を変わっても飲む機会を

設けてきたのだが、いつも深酒になっていた。


今宵も勧め上手がいるらしく、翌日も酒が体から消えることはなかった。


朝7の時頃、家内から起こされた。

三重県の桑名市に住む、私より二つ上のいとこからの電話だった。

母堂が昨日なくなり、今日が通夜で明日が葬儀だという。


2時過ぎの「のぞみ」に乗って名古屋に向かう。天気はどんよりしたままで座席も富士山を臨

む側とは反対側だったので、終始本に目をやっていたのだった。ほぼ1時間30分景色に目を

向けることもなかった。


名古屋駅に着いたのは4時前だったので、少し名古屋駅近辺の商業施設でも覗いてみようと

思ったのだが、いとこに電話を入れると、桑名に着いたら車で迎えに来るという。


マーケッターとしての店周りは断念して、近鉄・名古屋駅への通路を進むのだった。

駅構内の人混みに、不景気なはずなのにと訝ったのだが、今日はボーナスサンデイ。かつて

は1年で一番売上の高い日で、毎年売上の新記録を達成していたのだった。もはやこれも百貨

店の懐かしい伝説話でしかなくなってしまったのか。


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JR髙島屋の内も外も、人、人の波だ。11日(金)に行った八重洲の大丸も1階の食品売り場

は人溢れていたが、12月に入って売上戻ってきているとの新聞報道は確かなようだ。



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近鉄名古屋駅から、急行で20分ほどで到着。

車窓からの景観は取り立てて評する点はない平凡な町並みであった。


●桑名市

http://kanko.city.kuwana.mie.jp/


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近鉄とJRが隣接している駅だそうだが、西出口は駅の裏側にあたるようで鄙びたというよりも

風情の乏しい駅裏といった趣だ。


車で迎えに来てくれた、いとこの車で斎場である新西片祭典へ。

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通夜は、身内の者だけに限った少人数だったが、厳かに執り行われた。


お坊さんの説諭は流暢な語りで、話の内容も含めて関心をしていたのだが、いとこに言わせ

ると近くの大学で哲学を教えている教授だそうだ。髪の毛も剃らず、顎ひげを伸ばした風貌は

確かに、お坊さんというよりは大学教授然としている。いとこの嫁さんも地元の市会議員だし、

地方の一面に接し、いとおかしといった感慨をおぼえるのだった。


いとこの主義もあって、香典、お供えは一切受けず、清めの席も設けていない。

通夜が終わり、食事は何が言いかと問われ、思わず、「桑名なら、焼き蛤」と答えた。


泉鏡花の作品のタイトルを店名にした「歌行燈」で、蛤うどん、蛤の茶碗蒸し、蛤の天ぷら、蒸し

蛤と蛤尽くしの御膳を頂いたのだった。


●風流うどん、そば料理・「歌行燈」

http://www.utaandon.co.jp/index.html


近鉄桑名駅から、20時22分初の特急に乗り名古屋駅へ、名古屋からは「のぞみ」で新横浜

まで一直線。

土産は駅で赤福を買うのが精一杯、車内ではアルコールをたしなむこともなく、手持ちの本に

熱中したのであった。


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予定外の、名古屋、桑名へのショートトリップであった。