十年の月日を掛けた定年後の自分探しは、平成19年度行政書士試験に合格できたことを

契機に、「一新塾13期生」体験で意識した『主体的市民』の輪郭をより具体的にすることに

その結論を見出したのだった。


人口減・少子超高齢社会の進展は、多文化・多世代交差世界の拡がりを日本の隅々にまで

求め、誰しもが共生できる地域コミュニティづくりが喫緊の課題であるとの認識を自らの社会

的なミッションとし、定年後の生活の舞台を企業生活のような自らを封じ込めるのではなく、

社会に向かって、開放的な自己を維持できる社会起業家的な「行政書士」としての活動に置

こうと決意したのだった。


その決意は、「法務省東京入国管理局届出済み申請取次ぎ者」資格の取得による外国人支

援活動や、NPO法人成年後見サポートセンター会員に加入し、研鑽を重ねることを通じての

高齢者、障害者支援活動に着手できるお膳立てを整えさせたのだった。


しかし、ここまでは頭の中での考えが優先するものでしかなかった。

具体的な現実となんら向き合うまでには至っていなかったのである。



夜19時前、雨が治まらない中で、自宅から5分程さきにある地域ケアプラザへと出掛けた。


座長は、地元近くにある東洋英和女学院大学の石渡和実教授。

場の雰囲気から、陰に陽に地元の活動を支えていらっしゃるのが感じられる。


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基調講演は、NPO法人総合福祉サポートセンターはたの 香坂勇理事長。


46歳になる重度の障害者をお子様に持ち、週に一度施設を訪ね、お子様に会うことで

ストレスの解消をしていると心情を吐露される。


後に、石渡座長は、この香坂理事長発言を譬えて「障害者の居場所とは、障害者の存在が

人に癒しを与えるという関係性にこそあるのではないのか」と言葉を添えられた。



香坂理事長は、障害者の人権が保障され、地域で安心して「その人なりの普通の生活、暮し

ができる」社会の実現を目指すためには、地域福祉の充実の必要性を説かれ、地域資源の

有効活用をベースに、相談事業の充実が極めて必要であることを訴えられた。


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地域福祉の充実には、福祉計画の明確な位置づけに基づいて、障害者自立支援協議会の

確かな運営の下に、相談事業が充実していることは肝要だと何度も繰り返された。


加えて、はたのでは判断能力が十分でない方の権利を擁護する「法人成年後見システムを

構築し、成年後見申立ての支援、成年後見計画の策定や支援、法人成年後見人の受任等の

の実施状況を、やや詳しく報告された。



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香坂理事長の講演の後に、地元の関係団体の責任者からコメントが寄せられた。


41歳の知的障害者を子に持つ70歳半ばの父親からは、「親亡き後問題」が切々と訴え

られ、見知らぬ人でない、勝手知ったる地域の人の支援を活用できる市民後見制度に

ついての言及がなされたり、


日々の業務にだけ目がいくケースワーカーに留まっていることなく、ソーシャルワーカー

の視点での活動の必要性を決意される人がいたり、


トイレは車椅子でも入れる施設になっているが、おむつ交換台が用意されていないため

障害者が訪ねてこれない状況の報告などもあり、


また、会場からも管理センターが財産管理の支援をしてくれると安心だといった意見がでる

など、現実感覚溢れる発言が続いた。



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最後に、石渡座長から

「障害者を支援される側といった見方ではなく、健常者も障害者に力や癒しを貰うのだという

見方の発見や、障害者を受け入れるためにオムツ交換台が必要であるという気付き等、また、

石原座長の学生が障害者施設に自分から進んで出掛け、若者同志で交流しているなど、ま

だまだ地元の人が気付かねばならないことが多くあること」を指摘され、


障害者の居場所づくりには、香坂理事長が主張された相談事業の充実と地域のネットワーク

の有効活用が大切であることを確認的にまとめれて研究会はお開きとなったのだった。