泉パークタウンから行きの逆で戻って来たのだが、駅までは行かず地下

鉄南北線・勾当台公園駅で下車し、まずは地下から通じている仙台三越

定禅寺通り館を訪ねた。


三越定禅寺通り館は、21年間営業していた「ファッションドーム141」が

昨年の8月に閉鎖、その後本館と通じる地下1階をフードマーケットとして

営業していた三越が地上6階までを賃借して、今年の3月にリニューアル

オープンしたのだった。


地下2階はフード、1階はラグジュアリブランドを含めたアクセサリー、

2階はハンドバックと靴、3階がベビーとスポーツウエア、4階はメンズカ

ジュアルと新味もなく、新しいトライは全くといってなく伊勢丹と統合したと

思わせる要素は微塵も感じられない。


当然、本館だけのときよりはブランドや商品数は増えてはいるが、印象と

しては本館を増幅させただけのものだった。コンペジターの藤崎が東北の

伊勢丹といわれていたこともあってか、差異化としての伊勢丹色を見える

ようには打ち出せなかったのではないかと推察された。


しかし、某かの資金を投じて、この程度のリニューアルでは情けないもの

と言わざるをえない。二つもののアウトレットの進出、駅前の仙台パルコ、

エルパスⅡのオープンと変貌する仙台地区商業にあって、天下の三越・

伊勢丹HDが現状の不甲斐ない百貨店の実態をそのままに、ただ広げた

だけの投資で終わってしまうとは無策の百貨店極まりりだ。


●ファッションドーム141

http://www.ken-ohashi.jp/contents/2b/dagakki3/09series/141.html


●仙台三越本館・定禅寺通り館

http://sendai.mitsukoshi.co.jp/floorguide/index.html



昨年9月に起きた、リーマンショックの後は二桁以上の売上の減少が続き、

百貨店の存在が厳しく問われている中での、この余りの安直といえるリニュ

ーアルを目の当りにして暗澹たる思いと怒りにも似たにた感情が噴出する

のを強く意識するのであった。


そんな気分を振り切ろうと、商店街の中を藤崎に向って歩いていると、藤崎

の店の入口が騒々しい。お囃子や、小太鼓の音が響いてきた。人が周りを

囲んでいるのが見えた。


七夕も、昨日で終わっていると聞いていたのに、なんだろうかと小走りに駆

け寄ると小さな子供の一団が踊り、半纏を纏った大人が笛を吹き、太鼓を

たたいている。


旗には、「仙台すずめ踊り連盟」と記されていた。


●仙台すずめ踊り連盟

http://s-suzume-web.hp.infoseek.co.jp/


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仙台すずめ踊りは5月の青葉祭りが中心行事のようだが、


宮城県仙台市の伝統芸能「仙台すずめ」の祭・連(まづら)で組織された

団体である「連盟」が『まちかど演舞』という名目で藤崎の店先において、

伝承・普及のデモンストレーションを行なっていたところに運よく出会った

ということらしい。



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小気味のよいテンポ、躍動感あふれる身振り



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すずめ踊りの由来は、慶長8年(1603)仙台城の移転の儀式の宴席で

堺から来ていた石工が即興で披露したことに始まるとあり、

 


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また、伊達家の家紋が「竹と雀」であったことと

跳ねて踊る姿が餌をついばむ雀の姿に似ていたことから名づけられた

とも言われている。



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特に、市が主催者の一員でもある「青葉まつり」において、

途絶えていく伝統を守るために、すずめ踊りの伝承・普及に

力を注いだことから盛り上りができてきたそうである。



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百貨店である「藤崎」がどれほどの支援をしているかは承知していないが

ほとんどの百貨店では、経費のこともあって従来のような地元との協力

関係が薄れてきているのが実情だと聴く。


一方では、CSR経営なるものを謳っているのだから、こうした百貨店の

公共的な面での支援は積極的に行なうのが当然のように思うのだが。


収益確保のため、その局面だけでの効率追求のみに終始していると失っ

て行くものも大きいはずだ。


効率追求を第一義にした結果が、今回の三越のリニューアルの結果だと

すると昨今の百貨店の経営手法を疑ってみる必要があるのではないだろ

うか。このままだと逆のリスクがさらに拡大してくるのは自明だ。


お客様第一主義と謳いながら、ほとんどの百貨店では接客に当る社員は

管理者要員だけに絞り、給料を支払っていない派遣社員に全面的に依存

している傾向が一団と高まっており、それがリストラなるものの実態である。

拍子木をたたく御仁は、すずめ踊りのご愛顧を求める挨拶で締められた

が確かに、「すずめ踊り」には伝承普及させる伝統芸能としての価値が

ある。果たして今の百貨店にそうした価値が明確であろうか。


変貌する仙台地区の商業環境にあって、挙手傍観の態で済ませるさくら

野百貨店。


間延びさせただけの増床リニューアルの三越。ラグジュアリーブランドの

言いなりかと思われるファーストタワー新館(本年7月)を始め、各館の

一階のいい場所をラグジュアリーブランドに占拠させている藤崎.


2009年の仙台地区商業事情は、全国の商業事情の縮図でもあるの

だった。



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