暗闇の中を雪のように光の粒子が流れてゆく。
白い粒子が加速し視界が黒から白へと埋め尽くされていく。
光はゆっくりと銀色の砂浜の像を結ぶ。
流木に寄りかかるモノクロームのレイクスの横顔。
星々の潮騒が聞こえている。
暗転、急速なパンアップ。
銀色の明かりを映す、人々が見知らぬ月。
微かにゆらめく背中が一つ。
曲展開。
テロップ
スクロールしていくボードイメージ。
対岸の都市の煌めき。運河。地の底にある海。
森林化された群体型都市。階層化された都市構造。最上階層にある砂漠の港。
港に降り立ち、風に吹かれる中、対岸都市を見上げるアカルの眼差し。
モノローグ
アカル「サンタの姿を見た子供には、二度とプレゼントはこない。
あの時アタシが見たサンタは、アタシよりも背が小さかった。
アタシはまだ、あの子の眼差しをおぼえてる。」
・タキアスの側に立つちびレイクスの後ろ姿。
・白い巨人。
・橋の門前に立ちはだかるちびレイクス。
・青い光を纏い、飛び立つちびレイクス。
青い通路灯が赤い非常灯へと変わる。断続的に強い振動が響いて、埃の落ちてくる通路。
壊れたガラスや壁が散乱した通路を歩き進む男の影。
・思い出される海難事故の記憶からアストとの出会い。ワイアード、ダイモニアとの接触。
・そしてゼフィラムとのアジャスト。
回想
アスト「君は、知ってるか?
サンタクロースがなぜ年に一度だけ子供達に贈り物をするのかを」
アスト「彼は、世界中の子供の家を巡りながら捜し物をしているんだよ。
まるでさまようみたいに、クリスマスのプレゼントを口実にして。」
タキアス「なぜそんな話を?」
アスト「俺も捜し物をしているからな」
扉の前で立ち止まるタキアス。
思いを込めて手をかける。
(アスト「友人として忠告してやる。これ以上ゼフィラムには近づくな」)
タキアス「すまないアスト。やはり俺はおまえの友人にはなれない。
俺は俺の共犯者と共に往く。」
シンズナーグ解体争乱時の襲撃状況を再現したゲリラテロ。
・セントラルターミナルの爆破。
・ユウトのノナを抱えて逃げるアカル。
・テクネスのフィールド全体を包む光の壁。
・高密度化したオニムスの余剰エネルギーで、フィールドごとパージされるテクネス。
・活性化して飛び立つアマラム・テナス
アルト「僕等はね、彼が祈りを捧げた星ってやつを夢見てしまった病人なのだよ」
セティア「私はあの日、取り戻すはずだった家族を喪ってしまった。」
アルト「プロジェクトゼフィラムは、まだ抹消されてなどいない」
タキアス「自分の右腕を返してもらいに来た。」
アカル「せめてこの子達だけでも、お願いよ、ゼフィ…」
アルト「もはや出来損ないのワイアード達に用はない」
ユウト「ボクとノナはいつもお姉ちゃんの側にいるよ」
アカル「あたしがいなければ、あの子達が死ぬことなんてなかったのに」
アスト「俺たちの知っている神様は可愛いくらいさびしがりやなのさ」
アルト「前任者は思いの外、優秀だったようだ」
タキアス「なら、その小さな神様は一体誰に願い事をすればいい?」
アルト「だからさ、君にもう一度会わせてみたいんだよ。」
償い方を知らない神様にね」
タキアス「あいにく、俺たちの知ってる神様って奴はひどい役立たずだ。
そんな奴に誓いなんかたてるかよ」
レイクス「残念だが、君たちの求めるゼフィラムはもう存在しない」
拳を叩き合わせる二人の男の後ろ姿。
直上の見知らぬ月が舞台上の二人を照らしている。
レイクス「それでも、
まだ俺を動かしているものがここにある。
石のように重く錆び付いた足を前に出せ。
立ち止まるぐらいなら、せめて砕けてしまえばいいだろう。
それでも…」
高々度戦闘終了後の上空。
砕けたオニムの光が煌めきとなって空へと舞い上がってゆく。
「見知らぬ月」を見上げるレイクスが呟く。
地表の闇にとけ込むように降下していくレイクス。
それはまるで一筋の流星のように。
タイトル