Noel

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のんびり小説を書いてます。架空の生き物が大好きです。

拙い文章ですが、読んでいただけると嬉しいです。

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Noel


最近、雑誌のモデルさんを模写するようになりました。

筋肉のつき方とか描き方がだんだんわかってきたように思います^^

モナカは、カイトの為に、お守りを作っていた。もちろん、任務が成功するように、だ。母からピンクと水色の薄手の布をもらって作った。綿を少し入れて、そしてコイン(鷹のような絵が彫られている)と、モナカが描いた兄の似顔絵を小さく折って入れた。きっと、兄は喜んでくれるだろう。そう思うとモナカは手でにこにこしそうな顔の口元を隠すのだった。

モナカは嬉々としてカイトが初めての仕事に行く日を待った。



兄たちが任務に出掛ける前夜は、カサブランカ家皆で家の神である「イクル」に祈りを捧げた。

イクルは、鷹のような鷲のような雄雄しい姿をした鳥の神であり、カサブランカ家の象徴であった。


皆が祈りを終えて、厳かな空気が解かれると、各々しゃべりだしたり、酒を酌み交わしはじめた。

モナカは、兄のそばに行って話をしたかったが、兄は周りを取り囲む親戚たちに挨拶をするのに忙しそうだったので、少しさびしさを感じた。


皆がいる大広間を抜けて、廊下に出る。イクルとシヴァと暗(あん)が描かれている大きな絵が架かっていた。

「シヴァ」と「暗」いうのはそれぞれモナカの住む国ではないどこか他の国で信仰されているという神だ。シヴァは三つの眼を持つ鳥で眼が三つある。「暗」は胴が長く鱗に覆われているがどこかハ虫類を感じさせない不可思議な姿をしていた。どちらも外界生物か架空の生き物がモデルであるようだった。その国の人たちは何故外界生物や想像上の動物を神にするのだろうか。この国の人々は想像上の生き物や外界生物のような得体の知れない自分達の理解を超えたものを極度に恐れる。・・・というよりも、そういったものを敵、とみなしているようだった。

その理由はモナカにもわかる。

この国は昔に、幾度も犠牲者を出しているからだ。外界生物の為に。


明日は兄も外界生物の生存する危険区域に行くことになるのだろう。


・・・寒気がした。モナカは考えることをやめ、一人家を出て鳥小屋の方へ向かった。



皆の騒ぐ声や笑い声が、明るい家の灯りが、モナカが進むにつれて遠ざかっていく。

古い木の扉を開けて、鳥たちを一羽・・・というには大きすぎるので一頭、と数えることにする。一頭一頭の顔を見る。みんな眠っているようだった。明日のために休んでいるのだ。

この間怪我をしていたファルコは、一番奥に居た。そのファルコに寄り添うようにして、何かがいた。

ファルコに身体を預けて眠るそれは、あのときの少年だったのだ。びっくりしてモナカが後ずさりすると、その微かな音でファルコはモナカに気づき、目を覚まし、モナカを見つめた。

モナカは誰かに知らせるべきか、と思ったが、なんとなくやめておいた。ファルコもこの少年に気を許しているようだったし、何より少年が小さく、疲れ果てているように見えたからだ。


モナカは、明日の朝、他の鳥たちを任務に連れて行くため鳥小屋から出す仕事を任されていた。

ファルコはどうせ怪我をしているから任務には行けない。


まず、少年が眼を覚ましたら、名前を聞こう、それから早く家に帰るように言おうと思った。

ファルコもやがて目を閉じた。二人の眠っている間、そこにはなぜか壊してはいけないようなものがあるような気がしていた。

モナカは夜明けまで二人を見守ることにした。自分も眠たかったが、放っては置けなかった。

「すごいな、モナカは」


感心した声を上げて、カイトがモナカの頭をなでる。

モナカは兄の大きな手も、その優しい仕草も大好きだ。


「どうしてファルコが怪我してるなんてわかったんだい?アイツは人には弱みを見せないから怪我をいつも隠していてさ、父さんも手を焼くほどなんだ」


カイトはモナカの背丈に合うようにしゃがみこみ、空色の目を細めて言った。


モナカは兄の問いに答えることなく黙ったままだった。


(・・・ファルコの怪我のことを教えてくれたのは、あの少年だった。

鳥の中の一羽を指して、「ファルコが痛がっている」、と。)


そんなモナカをカイトは自室へと招き、ココアを淹れてくれた。


「今日は留守番してくれてありがとう。今日は父さんたちと任務の打ち合わせに行ってたんだ。」

そして、カイトはうれしそうな顔でこう続けた。

「兄さんの、初任務が決まったんだよ」


「おめでとう、お兄ちゃん」

カサブランカ家の一員として一人前になると、外界生物を連れて任務に行けるようになる。

外界生物への対策や国民の安全を守ることがこの家に生まれた者の使命である。

カイトも晴れて一人前になったのだ。


モナカは純粋に嬉しいと思った。

いつか、自分も兄と同じところへ行くのだ。自分も国を守りたい。

ただ、そう思っていた。


モナカは熱いココアを飲み干すと、兄に仕事着を見せて欲しい、と言った。


兄が国からもらったそのマントには、月と十字架の模様が描かれていた。