今日、包丁が帰ってきた。
鋼の包丁。
25年以上前、まだ独身だった頃から使っている一本。
若い頃から家庭料理だが料理はしていた。
鋼の包丁は、手がかかる。
錆びるし、研がなきゃ切れ味は落ちる。
でも、誤魔化しがきかない分、
素材とも、作り手とも、正直に向き合える。
この包丁で切ってきたのは、
日々のごはんだけじゃない。
家族の食卓、
試行錯誤のレシピ、
失敗した料理、
そして今の
「オルタナティブカレー」に繋がる時間。
にんにくを刻む音、
玉ねぎを炒める前の下ごしらえ。
刃が入るリズムが整うと、
頭の中も静かになる。
25年も使えば、
刃は欠け、
柄は緩み、
さすがに限界かと思った。
でも、捨てる気にはならなかった。
ご近所さんの伝手で職人さんにお願いして、柄を替えてもらい、
刃を研ぎ直してもらった。
今日戻ってきた包丁は、
無駄が削ぎ落とされて、
芯だけが残ったような佇まい。
新品じゃない。
でも、今の自分には
この包丁が一番しっくりくる。
大量生産じゃなく、
効率最優先でもなく、
手間を惜しまない。
手をかけること。
続けること。
直しながら、使い続けること。
今日の仕込みは、
いつもより静かで、
いつもより気持ちがよかった。
またここから。
この包丁と、
この台所で


