バイト先までは徒歩20分。
駅目の前、裏にはマンション群と立地最高なコンビニエンスストアが俺のバイト先だ。


「おはようございまーっす」

いつものように店舗裏の従業員用の扉を空け入ると、

バイト仲間の秀人が漫画を読んでいた。


秀人は大学生の為、夜勤か夕方からしか来ないはずなのに、

この時間にいるって事は、休憩時間を後回しにしたか暇つぶしに来たかのどっちかだろう。


「うっす」
「うぃ、休憩?遅くね?」
「いんや昨日夜勤でよ、早番で一人遅刻するっつーから代わりにさっきまで入ってたんだよ」
「まじか、何時間入ってたのよ?」
「ん~、12時間ぐらいじゃないの?」

眠たげな目をこすりながらそう呟く秀人。


最高の立地の為、客が絶える事は無いのにも関わらず、

慢性的な人手不足なこの店では、一人いないだけで修羅場になっちまう。

肌色の斑模様
冷静な目、冷たい目、熱の篭った瞳、
ありふれたフレーズ、ありふれたメロディ
変わらない光景、変わる顔ぶれ
この狭い空間の中で、それぞれがぞれぞれの思うがままに演じる

モノトーンに染まっていくライブハウス、景色が歪むまで腕を振り上げる 






携帯のアラーム音が現実の世界へと導く。

景色に色がつきはじめ、見慣れた狭い部屋が目の前に広がる。



昨夜のライブの夢を見てたせいか、起き抜けにもかかわらず身体がソワソワして落ちつかない、今日は97時からバイトがある。気だるいよりはましだが、この落ち着かない感じは好きになれない。


手元の煙草に火をつけ、見慣れた6畳半の部屋を見渡す。

部屋の3分の1くらいのスペースをとっているトレーニングドラム、昨夜のライヴではコイツで死ぬほど練習したスタンディングの連弾を披露した。


Party Monsterのテヴォンほどじゃないが、自分なりにうまい事出来たと思ったが、客のノリはいまいちだったな。


椎名 涼一 26才 バンドを言い訳にしたフリーター

唯一の取り柄と言えば、ドラムが叩ける事ぐらい。
中学の時にはまって、音楽の先生に褒められて天狗になって、そのまんま突っ走ってきたらメジャーになることも無く音大に行ける事も無く、行き着いた先がインディーズ中堅のバンドマン。


まぁっ、人生そんなに甘か無いよな。

っと、昨夜のライヴと夢の余韻につかるのはこの辺にしておこう、バイト遅刻しちまう。



吸いかけのタバコを灰皿におしつけて、いつものように顔を洗って家を出る。

- ひと -


地球という不思議な世界で


人として創られ

モラルという手枷をはめ

日本国という存在に従事し

不可解な災いの中

罪というタイトロープ渡り

寿命という滅をむかえる.


手枷をつけない者は蔑まされ

従事しない者もまた蔑まされる


不可解な災いに滅を向かえる者もいるだろう


ロープから堕ちた先には 刑という処罰が待っている.


それが日本人という生き物 当たり前の事.


その当たり前の事の中で


自由を探し

永遠を求め友

愛を見つけ

滅に至る.


当たり前の事の中で

当たり前では無いことを探し


人は生きているのかもしれない.