私は優しい人ではなかった。

だから優しさのちゃんとした使い方を知らなかった。


あの時、弱っていたあなたに気まぐれで伸ばした手。

表面的に優しいだけの、軽々しい言の葉の数々。


それがあなたを致命的に変えてしまった。



私は、私によってここまで変わってしまった人を知らない。


だから怖い。


変わってしまうあなたが怖い。

変えてしまいたいと思う私が怖い。


あまりにも私の思い通りになるあなたを見ていると、元々強くない理性が吹き飛びそうになる。

いけないとわかっているはずなのに、疑問符が浮かんできてしまう。



たぶん考えた時点で終わりなんだろう。

迷いを持った人間は、本心に勝つことなんてできなくて。

私は迷いながら、苦悩しながら、結局はあなたの生を歪めてしまうのだろう。


もしそうなっても、あなたは私を責めたりはしないだろう。

いやきっと、喜ぶのだろう。


あなたは私のために生きることを、望んでいるのだろうから。



だからこそ、恐れているわけなのだけど……






私の全てを誰かに捧げる。

誰かの全てを私が受け取る。

そのどちらも、私にとっては恐ろしい行為だ。


私はそこまで自分を捨てられないし、そこまでのものを受け止めきれる自信もない。


行き過ぎた想いは、人を壊す力があるのだと思う。


願わくは、理性的に愛し愛されることを。