少女--仮に名前を
慧子 (あきらけいこ or けいこ)
弟を
朝右(あさすけ)
とする--
彼らの住まいは 小高い丘(もしくは山)の上にあった。
朝には、靄があたり一面にかかる。
彼ら以外の住人は、雑役をし、日常の世話をする大人が数名いるだけ。
自室は小奇麗にしてもらっているが、建物自体は古く、石の土台は欠け、蜘蛛の巣なども放っておかれたままだ。
--そして、彼らの両親は、何故か一緒に住んでいない・・・
昼の間、慧子は部屋に籠って机に向かい、朝右は、外で鞠を蹴ったり、草履を投げたりして遊ぶ。
二人は、一見、楽しく暮らしているように見えるが、夜が更けてくると、寂しさが募る--
二人で手を取り合うようにして、両親が居ない寂しさを紛らわせようとするが、朝右にとっては、我慢ならないものなのだろう--
寝室から漏れる彼のすすり泣きを耳にする度、切なくなった・・・
慧子は年の功?か、そんな事情にも慣れてしまい、そこまで辛いと思うことはなくなっていた。
--ただ彼女は、互いを姉弟と思ってはいたものの、二人の顔が全く似てないことには気付いていた・・・