エリザベートは、度々大洋に出向くフランソワを、羨ましく思っていた。
自分が男性として生まれていたなら、彼と同じような人生を歩んだことだろう--
彼に対して、恋愛感情が全く無かったからこそ、親友に抱くような友情や羨望を感じていた。
ただ、フランソワにとってエリザベートは、自分より20歳近くも年の若いひとりのお嬢さんだ--戦艦に乗って遊びにいく、みたいな認識しかなさそうな彼女を、血で血を洗う戦争なんだから、といさめると、彼女は、だからダンスで弾けてるのか!?と返す・・!
結果、いつもの『男同士』?の冗談に終始する。
彼等の友情は長く続いたが、エリザベートの方は独身で一生を終えたようだ。
そして、ふたりの最大の憂いは、フランス王妃のこと--
幼く、屈託のなかった彼女が、彼等から離れていくのを引き戻すことができなかったことは、最後まで心残りだった・・・


