ダーリャが元の職場に復帰して10日程たった頃、ミハイルが現れた。
彼女の突然の失踪に驚き、捜したという。
いつも穏やかなミハイルが、混乱している様子を見て、ダーリャは嬉しいと思うと同時に、哀しかった。
彼女は泣き出し、そして彼の自宅に行った事、奥さまから、彼が外国へ行き、暫らく戻らないと聞いたと言うと、彼は言葉を失った。
--それは、妻の 『嘘』 だった。
アパートを長い間訪ねることができなかったのは、偶々仕事の都合がつかなかっただけで、その間ずっと職場に居た。外国へなど行ってない。
--彼は総てを察した。
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敬虔なキリスト教徒であるミハイルの妻--
富豪の家庭に嫁ぎながら、女性らしい華やかな生活とは無縁の日々を送っていた。
そして自分の一人娘を、同じように信仰心の篤い大人に育て上げることに熱心だった。
そんな妻を娶ったのは、父の勧めもあったが、ミハイル本人も、同じ志を持つ者同士と知り、気に入ったから。
けれど、ダーリャの存在は、二人の関係を揺るがしつつあった。
何も言わなくとも、妻は微妙な夫の心の内を理解した・・・
嘘をついてダーリャを遠ざけようとまでした妻の嫉妬心――それは自分の所為だと認めざるを得ない、ダーリャに対して、慈悲心とは違う愛情を感じていたのは事実なのだ!
ミハイルはすべてを正直に話し、彼女を抱きしめた・・・

