現代風なイケメンだった要は、当時の風潮に逆らうように
優しい人だった。
稔の存在が、要の目に止まったのは、その笑顔にあった。
厳しい教官達に囲まれて、内気な学生であれば委縮して
しまうところ、何故か彼はいつも笑顔でいる。
決して目立つ存在でもないし、質問に来るときも遠慮がち--
なのに、ふと見るとにこにこしている。
年ごろの少年らしいニキビも、愛嬌だった。
よほど、ここでの勉強が嬉しいのだろう、飛行機が好きなんだ
ろう、と--自身の気持ちと相通ずるものがある、と推測した。
要への質問が増えるにつれ、稔は、接した記憶の殆どない
父親像を無意識に彼に重ねていったとしても、不思議では
なかったろう。
--また、要はといえば、男兄弟がいなかったことで、弟に
接するとは、こんな感じなのかという新鮮な感覚もあったが、
何より可愛がっていた妹のことをいつも気にしていたことから、
稔の笑顔は癒しとなった。
--戦時下、離れ離れになって、どんな苦労を重ねている
ことだろう、と、マイナス思考になりがちなところ、彼女も
彼のような笑顔で暮らしているかもしれない、そんなに
心配しなくてもいいのだ、と思わせてくれた・・・
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