トラジと少女(8) ~ 少女の行方 | 前世の記憶を辿る Past life memories

前世の記憶を辿る Past life memories

元ブログ『前世の記憶』の続き。
前世の記憶では前世以外のカテゴリーも様々書きましたが、本ブログは、
前世関係に特化させたいと思っています。

 

そんなある日--季節は冬

ただでさえ寒いのに、陽が落ちた後の町並みは、凍えるような

空気に支配される。

 

旦那さんから使いを頼まれたその帰り道、手に温かい息を吹き

かけては先を急ぐトラジ--

 

 

自分の店まであと数軒と迫った頃、とある商店の店先に出されて

いる火鉢に目が留まった。その火鉢の周りで暖を取る数人の若者

の中に、顔見知りの奉公人を見つけたので声を掛け、自分も温ま

ろうと近づいた。

 

 

すると、彼の表情がいつになく硬い--

よく見ると、他の者達も同様の表情をしている・・

不審に思い、何かあったのか尋ねてみると、顔見知りが答えた。

 

--少女が行方知れずになっている

 

なんでも、今日のいつ頃かはわからぬものの、両親が気づいた

時には、どこを探しても居なかったので、人を頼みあちこち探した

が、未だ行方が分からない、とのこと--

彼らは、捜索する人達のため、また、少女が無事帰ってきた時

のために火鉢を用意して待っているのだった。

 

--トラジは、その場にへたり込みそうになる自分を、必死に

抑えた。

そして何かしようにも胸が苦しく、動くこともできなくなってしまう

のだった・・・