都会の生活に慣れ、友だちと度々外出しては楽しい時を
過ごしたり、少年の忙しい仕事の合間を縫っておしゃべり
したりと、息抜きの方が忙しくなっていった。
辛い時期を共に居てくれたヒサに対して、感謝の気持ち
がある奥さまは、出かけたら最後、暫らく戻らないことを
繰り返すようになったヒサのことを、その身の安全こそ
願えど、若いのだから、少々羽目を外して遊びたいと思っ
たとしても仕方のない事だと理解を示し、大目に見てくれ
ていた。
少年は少年で、ヒサの思い通りになるようなタイプでは
なく、米国の少女を真似しても、浮ついた態度を取るよう
なことは一切無く、少女に対して終始真面目に向き合った。
そんな日々を過ごすうち、次第に故郷の事、母の事を
忘れがちになっていくヒサに、奥さまも気づいてきた。
--母の事が常に頭から離れず、故郷を想っては泣き
じゃくっていた少女は、いったいどこへ行ってしまったの
だろう・・と。
そんな懸念が現実化したかのように、電報が奥さまの許
へと届く--それはヒサの故郷から、急を要する内容を
伝えていた・・


