夫の外出を慎ましく見送る妻の姿--のイメージは、その
『苦虫を嚙み潰したような』
顔を見れば、一目瞭然--覆る・・
そもそも夫は 妻の顔色など窺わない どころか、
妻の表情を気にかけるなど、想像だにしないことだった。
なので 妻がそこに居る ことは承知していても、顔を
見ることなど無いし、云わんや別れのあいさつなど
男の沽券(こけん)に係わる
ことなので、彼女の『苦虫を噛み潰したような』表情にも、全く
気付いていなかった--
少女が見た、奥さまの
不機嫌な表情
とは、夫に対する 苦々しい思い が招いた結果だった。
--奥さまの気分を損ねていたのは、夫の外出に同行する
人物--。
夫と寄り添い、腕を絡めているのは、ひとりの女性--
女性というより、年齢から言えば 少女 だった。
大柄な体型。長い手足--青い瞳に、背中まである
豊かなブロンドーー
そう、彼女は異国からやって来た、西洋人形のように美しく
愛らしい少女だった・・・

