そもそもこの王は、臣下たちを末端に至るまで大切に扱う人物。
なので、エンニオの父を殺害した人物も、彼の配下である可能性は
低い。
命を狙われたにもかかわらず、それを許したのも、エンニオの責任を
問うというより、彼の環境に問題ありと解釈したうえでの恩情をかけた
ことが理由だった。
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陽の光もほとんど届かない地下牢で、仕方なく始めた勉強--
エンニオは、しかし次第に学ぶことの楽しさ、面白さに目覚めていく・・
子どもの頃、まったく意味を成さなかった文字の羅列--それが、
まるで命が宿ってでもいくかのように、生き生きとしたひとつの言葉を
形成していく過程--
エンニオは、貪るようにひとつ、またひとつと覚えていった・・・
やがて、書物を手に取ることができるようになってくると、彼の心の
中に、大きな心境の変化が訪れた。
それは、早く殺せと叫んでいた彼が、壁の隙間から漏れる一条の灯り
にさえありがたみを感じるようになったこと--死よりも、
生きていることの喜び
を感じ、生きることの意味を理解するようになっていくのだった--
(宗教本を読んでいた??)
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地下牢に繋がれた火付けの犯人が、読み書きを覚えるにつれ、別人
のようになったという噂は、娘、ロザリアの耳にも届いていた。
--彼女は、偶然とはいえ、彼を事件前に目撃していたことから、通常
では気にも掛けないはずの存在が、気になる存在となっていたため、
噂話は、彼女の本来の気質にある好奇心を、大いに刺激した・・・