幕末を駆けた青年(9) 配置転換 | 前世の記憶 ~Past Life Memories~

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占い師や精神科医に頼ることなく、自力で前世を蘇らせる方法。

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京都に到着した彼らを待っていた組織--

そして彼らの仕事とは--組織のトップが陣笠を目深に被り、素顔を露わに

しない、その様子からも推測できるように、陽の目を見ることのないものだった。







--事前情報を頼りに、闇に紛れてターゲットを仕留める--


彼らは命ぜられた役割を全うするだけ--ターゲットの素性も、命を奪う理由も

一切明かされることはなかった。

が、『お上』からの指令は 絶対 --ましてや、武士の身分でもない彼らが

対等与せる相手でもない


浮かれた気分も吹き飛んだ彼らは、無我夢中で仕事をこなしていった--

そんな中、勃発したのが冒頭の事件だった。

その時点ですでに、2、3件の仕事を経験している--そんな時だった、他の

エリート剣士達と同様に立ち回っていた寿三郎に、突如 

配置転換 

が命ぜられる。


それは、斥候としての役割、そして情報収集伝令というものだった。


--寿三郎は驚いた。

それは表舞台の仕事ではなく、裏方のすること--自分の腕(剣の腕前)

発揮することはない。

いったい何のために剣の修業をしてきたのか・・・!


思い通りに生きたい寿三郎にとって、それは損な役割で、価値も無いことに

えた。


憤る彼の耳に、配置転換を命じた人物の正体が告げられる--それは、

笠をり、素顔もまともに見たことのない組織のトップだった・・・


--剣士達の仕事は、彼らだけで成し遂げるのが難しい場合も多く、大抵の

場合、トップ配下の別部隊が援護に駆けつける。

それでも、彼自身が現場に姿を見せることはない--

が、何度かに一度、その存在を敢えて世間に示すかのごとく姿を現すこと

あった。


寿三郎はその時、彼の威風堂々たる風情に不思議な感銘を覚えた記憶がある--


半ば故郷(くに)に帰ろうとすら思っていた気持ちを翻意したのは、このトップ

意思と知ってからのことだった・・・