彼らが招集されたのは、そもそも何処から、誰の指示に由るものなのか--
師範はただ 『お上』 の命としか告げなかった。
いったいどこへ向かい、何をするのか・・・剣士が集められた以上、命を懸ける
つもりがない者は、辞退しなければならない--
が、武者震いはしても、辞退する者はひとりもなかった。
寿三郎も、もともと家業に興味はなく、親孝行をしようという殊勝な思いもなかった
ため、例え反対されたとしても、要請に答える意志は揺るがなかった--
--数日後--夜の港に1艘の船が停まっていた。 身の回り品のみを携えた
数名の若者たちが乗り込んだその船の向かう先は
京都
これから直面することになる波乱の行く末を、寿三郎はこの時予感していただろう
か・・?
答えは否--噂を聞いてはいても実感は無く、それどころか浮き立つような喜びを
胸に、都へと船出した・・・
