この映画を初めて観たのは、十代の頃だった。
TVで、モノクロの画面で・・
知っている出演者の名前は、グレゴリー・ペックだけ。
十代の、まだ子どもに近い年齢の自分が、この映画の何に惹かれたのかーー?
覚えているのは、原作者ハーパー・リーのやんちゃな少女時代を演じた
メアリー・バダム ~当時9歳
の自由な演技がとてもナチュラルで、気が強いのに愛らしくてーー画面に登場する
彼女の姿をずっと追っていたことだけだ。
物語にも感銘を受けたのだろうけれど、昔すぎて詳細は忘れてしまっていたーー。
今朝、WOWOWで放送されたこの物語を観て、すっかり忘れていた話の筋が、記憶に
とどめていたと思い込んでいた展開と全く違っていたことに驚き、感動し、そして最後は
号泣させられることになってしまった・・
あらすじ ~ ウィキペディアより転載
1932年、アラバマ州の田舎町で暮らすフィンチ一家。
父親のアティカス(グレゴリー・ペック)は、その知性と人柄で周囲から篤く信頼
されている弁護士だ。アティカスの娘であるお転婆なスカウト(メアリー・バダム)
は、兄のジェムや友達のディルと共に毎日元気に遊びまわっていた。
そんな或る日、アティカスに対して弁護の依頼が舞い込んでくる。
それは白人女性に対する婦女暴行事件で、容疑者は黒人男性だった。
人種差別の激しいアメリカ南部で黒人の弁護をするフィンチ一家は、周囲の
心無い人々から中傷を受ける羽目になってしまう。
そしてやってきた裁判の日。陪審員は全て白人という被告にとっては絶望的な
状況で、アティカスは滔々と弁護を開始する。
アメリカにおける人種差別問題を取り上げた、当時としては先駈け的な作品である。
ーーキング牧師の “I Have a Dream” 演説の前年公開ーー
この映画に触発されたあまりにも多くの人々が、アティカスに憧れてロースクールに入学、弁護士
となり、生まれた息子にはアティカスもしくはグレゴリーと名付け、娘はスカウトと名付けさえしている。
高校の教科書に載せられ、ハーパーの『アラバマ物語』は学生達の必須読書となった。
それほど、アメリカでは超有名な映画であるにも拘らず、
日本では知られざる名作 であるーー
十代の頃になかった深い感銘を受けたのは、黒人男性トムの弁護を終え、そして敗北した
アティカスが法廷を去る場面ーー
ーー2階席を埋め尽くした黒人の傍聴人達は、1階の白人傍聴人が全員退廷しても、ひとりも
立ち去ることなくアティカスを見つめていた。
アティカスが書類を鞄に収め、帰ろうとすると全員が立ち上がり、そして牧師は、座ったままの
スカウトに起立するよう促した。
ーーアティカスに対する深い敬意を、無言で表した人々ーーその映像は特に、
『尊厳』とはどういうことなのかーーを、言葉ではなく、映像で教えてくれる印象深い場面だ。
この場面以外でも、物語を通じて、それを様々な場面で教えられる。
他にも、人種差別を軸にしつつ、対等であるとはどういうことなのか、
正義とは、勇気とはーー等々判っているようで、実際は真に判っていない様々なことを教えて
くれる。
非暴力というのも貫かれたテーマだ。
ーー今、日本では『体罰』という暴力が蔓延っている・・
アメリカの教科書に載る、というのも頷ける。
子どもから大人まで、人生の道しるべとなる物語だと心から思う。
・・と書いても、見ていない方にはなんのこっちゃ、という感じでしょうから、次回は、(映画を)
もし見つけることが出来たなら載せたいと思います・・