とてもおっとりしたお嬢様ーー
そんなお嬢様が丁寧に、慎重に扱っているのは実験用のフラスコ。
キュリー夫妻ではないが、それを髣髴とさせる実験室のような部屋で、父親らしき人を手伝っている。
ーー但し、微笑を浮かべ、ゆったりと上品に歩くお嬢さまに緊張感はなく、まるで料理のお手伝いでもしている
ようだ。
三方に大きなガラスをはめ込んだ窓のある温室のような部屋には、机の上に実験用具、容器が置かれていた。
前世のお嬢さまはとても大らかで、父親のことをわが子のように思い、母親のような気持ちで接していた。
だから、何を頼まれても嫌がらず、はいはい、しょうがないわね・・みたいに・・いそいそと手伝うのだった。
ーーそして、前世のお嬢さまには父の手伝いと平行して、もうひとつの仕事があった・・
