母の前世である、ネイティブアメリカンの少女が
10歳に満たない頃、額に深い皺を
刻んではいるが、鋭い眼光を放つ
初老の男がひとり、岸辺に下り立った。
羽根冠を載せ、衣服にもびっしりと付けている。
ーーだが男はその衣装に、族長であり
勇敢な戦士として相応しい姿である
という意味以上の理由を持ち合わせてはいない。
少女の土地にやってきたのは、後継者である
息子の嫁を選ぶためだったーー
女たちに目をやって間もなく、少女に目が留まった。
選ばれた少女に、拒む権利はない。
しかし少女には、結婚の意味すらわかっていなかった・・・
