ベンゾジアゼピンの離脱および断薬に成功した。

 現在、断薬して一ヶ月以上が経つ。

 約20年間、毎日服用してきたベンゾを、働きながら6ヶ月かけて漸減し、遂に断薬した。

 離脱症状は気分が憂鬱で疲れやすく、睡眠がやや浅いのみで、身体症状は何もない。仕事も継続中だ。

 離脱症状が比較的軽いのは、漸減に取り組む前から何年も最小限の量に留めていた事に加え、柔軟な漸減スケジュールでじっくり時間をかけて減薬した事が症状を軽くした。

 また、今回は本格的なサプリメント服用も補助的に役に立った。

 成功要因は、年単位での低量維持または減薬と、漸減に適した低ストレス環境、そして体調をよく観察しながらの徐々なる漸減だった。

 また、断薬を試みたのは今回が初めてではなく、これまで何度も挑戦しては失敗してきた経験から学んだ知識と技術と心得が大いに力となった。


 私の場合、アシュトンマニュアルに基づいて漸減を試みても失敗してきたのは、持病にてんかん発作を持っていた為だ。

 ベンゾの強い抗てんかん作用は、離脱時に発作を惹起する。そのせいで止めようとすると発作に襲われ、あと少しのところで断薬出来なかった。本来、てんかん発作を持つ者は医師の監修のもと漸減しなければならないそうだ。

 幸い、今回は発作が殆ど起きていない。軽微な発作はあったものの、この程度で済んだのは、初めて試みたサプリメント効果のお陰と捉えている。

 サプリメントの種類と体感的な効能については後述する。


 私の経験上、ベンゾ断薬は失敗してもやり直せる。ただし時間はかかるから、やはり早い段階で正しいノウハウを学んで一回目で成功するのが理想だろう。

 ベンゾ服用者の中には、諦めて一生飲み続ける人もいるようだ。

 その判断は否定するものではない。あくまで個人の判断で決めることだからだ。

 しかしながら、これだけは絶対にすべきではない判断と行為がある。

 それは減薬を無視して一気に断薬することだ。

 これは取り返しのつかない後遺症を招き、最悪は脳が元に戻らなくなる。

 高いビルから降りる事に例えるなら、薬を徐々に漸減するのが階段を一段一段降りて下るのに対し、一気に断薬することは階段を無視して屋上から飛び降りるようなものだ。

 ビルの高さは服用量と比例する。

 前者は転ばなければ怪我なく安全に降りる事ができ残るは多少の疲労感のみだが、後者は衝撃で身体を不可逆的に損傷する。

 アメブロでよく見かける重度の離脱症状に何年も苦しんでいる人の多くは、減らすのが早すぎたり一気に飲むのを止めてしまった人々だ。

 だから今一度書くが、ベンゾジアゼピンは一気に止めてはいけない。

 これから断薬を試みるかもしれない人への重要な助言だ。

 ベンゾジアゼピンは受容体に作用し、脳に可逆・不可逆の変化をもたらす。止めた直後に服用前の状態に戻ることはあり得ない。

 ゆっくりと時間をかけてベンゾを血中から減らしていき、最後は慎重に脳が気付かないように血中から抜く。

 そのプロセスを経てようやく、脳は服用前の状態へとゆっくり年月をかけて回復していく。


 サプリメントの記述に移る前に、私が気付いた注意点を書いておこうと思う。

 多くの人が指摘するように、アシュトンマニュアルの漸減スケジュールは早すぎる。

 そしてジアゼパム(セルシン)への置換を前提に書かれているが、ジアゼパムは体質的に合わない場合がある。

 私はジアゼパムに対する代謝が悪かったようで、底量でもどんどん体に蓄積していく感覚があり、作用を強く感じた為、中断した事がある。更に悪いことに、その前に服用していた中時間型のベンゾに戻したところ、これまでに無い離脱症状、主に身体症状と強烈な不安感に襲われた。後に調べてわかった事が、長時間型は弛緩作用が強く、離脱時に身体症状が強く出る傾向に加え、睡眠目的で短・中時間型を服用していた場合に比べて抗不安作用も強く、離脱時に強い不安感が生じるとの事だった。

 以降、ジアゼパムだけでなく長時間型は服用しなくなった。

 そして中時間型のベンゾ一種のみで漸減し、断薬に成功した。

 つまり、漸減においてジアゼパム及び長時間型への置換は、必ずしも正解とは限らない。

 特に睡眠目的で短・中時間型を服用してきた場合は、長時間型へ置換した際の新たな離脱症状リスクについて留意すべきだ。

 アシュトンマニュアルを基本としつつも、自身の体質や状況に合った方法を見つけて、柔軟に対応するのが望ましいと私は考える。


 最後に私がサプリメントを服用して役に立ったものと、そうでなかったものを書いて締め括ろう。

 補助的に役に立ったサプリメントは、効果的だった順に、パッションフラワー・グリシン酸マグネシウム・オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)だった。

 次に効果の実感があまり感じられなかったものが、L-テアニンとビタミンB群。

 そして漸減中と離脱後に服用を避けた方がよいのがバレリアンルートになる。


 まず効果的だったパッションフラワーについては、自然界の鎮静剤とされる花から抽出された主にフラボノイドを中心としたいくつもの成分、これが複雑に作用しGABA受容体に間接的に働きかけ、弱いベンゾジアゼピンと同様の穏やかな抗不安効果をもたらす。依存や耐性形成は様々な研究で報告されておらず、比較的安全に服用でき、ベンゾジアゼピンの減薬速度を速めたという報告もある。

 私はNOW FOODSのパッションフラワーを就寝前に700mg服用し、睡眠補助に役立てた。

 プラセボ効果かもしれないが、不安感がやや緩和された気がする。

 効いたか効いてないよくわからないくらいが丁度良い。何故なら明らかな効果を感じる成分はそれだけ受容体に強く作用して脳に変化をもたらしているからだ。


 グリシン酸マグネシウムは神経の調整に役立つとされていて、軽いリラックスと筋肉の緊張を和らげる効果が期待される。

 私は毎日服用することで、離脱症状から来る仕事中の筋肉の硬直が軽減された。


 オメガ3脂肪酸は、強力な抗炎症作用があるとされる。その作用は脳の神経炎症を抑える働きがあり、間接的にてんかん発作を抑制する。

 私は先のパッションフラワーとマグネシウムの鎮静作用に加え、このオメガ3脂肪酸によって発作が抑制されたと考えている。

 サプルメント服用しなかったこれまでだったら起きていた発作が、今回は見事に抑制された。


 効果の実感が分からなかったビタミンB群は、一つ注意点がある。

 ビタミンB6は、1日60mg以上を摂っていると神経障害が生じるそうだ。

 よってベンゾ離脱中は量に注意しなければならない。


 最後に推奨しないバレリアンルートについて。バレリアンはパッションフラワー同様、精神作用を持つ自然界の成分で、穏やかな眠気を引き起こし入眠を補助する。

 作用機序は完全には解明されていないものの、ベンゾと似てGABA受容体に作用する。パッションフラワーが間接的作用であるのに対し、バレリアンは直接的な傾向があるようだ。それがベンゾ離脱からの回復を阻害するとのことで、アシュトンマニュアルでは有害事象に指定されている。

 私は漸減初期から中盤までこれを服用してきたが、終盤で止めた。理由は服用後に明らかな脳の抑制を感じたからだ。類似する感覚としてアルコール摂取後、酔いが覚めてくる時の頭がつまるような不快感が、バレリアンでも体感した。おそらくGABA受容体に明確に作用していたのだろう。服用中止後に軽い不眠が生じるとの報告もある。

 バレリアンは、健常者には問題無いが、ベンゾ離脱で脳が過敏になった人には回復を阻害するため、服用しない方が良い。


 ついでに今回服用しなかったサプリメントで、抗うつ作用があるセントジョーンズワートについて短く言及する。

 セントジョーンズワートはベンゾの代謝を早めるため離脱症状を悪化させるリスクがある。

 故にこれも原薬・離脱中は服用しない方が良い。


 サプリメントに関する記述は以上となる。

 これはあくまで私個人の体感が強く反映された記述であり、効き方は個人差が大きく、あくまで参考までに留めてほしい。

 ベンゾ断薬は、ゆっくり時間をかけて丁寧に減らしていくが基本で揺るがないので、サプリメントはその補助として位置付け、過信せず利用するのが好ましい。


 長くなったが、私はようやく長年の戦いに一区切りついた。

 まだこれから長い回復の過程を乗り越えなければならないが、ベンゾジアゼピンに関する話題はこれ以上取り上げることはないだろう。

 たまに経過を記録することはあっても、このブログの本旨ではないから、なるべくベンゾには触れたくない。

 人生は朝霧のように儚く短いから、いつまでも禍事に囚われるべきではないんだ。

 私にはこれから成すべき事がある。