「水道水の塩素が濃い県は感染率が低い」って本当? 水道局の見解は
【Q34】水道水の塩素が濃い県は感染率が低い? 


パンデミックが起きても慌てない 今から始める備蓄リスト 

 水道水には、消毒用として塩素が入っている。この塩素が新型コロナウイルスを殺菌するため、「水道水の塩素濃度が濃い県ほど感染者が少ない」といった噂が広まっている。 

 実際、感染者が一時的に増えた北海道(札幌市)の残留塩素は、「0・39㎎/L」と他の大都市に比べて数値が低い。一方、感染者が1人しか出ていない宮城県(仙台市)は「0・70㎎/L」と濃度が高い。15年ほど前の札幌市は「0・67㎎/L」もあり、塩素を少なくしたことがアダとなってしまったのだろうか。塩素はカルキ臭の原因となり、一般的に濃度が低いほど“飲みやすい水”とされる。水道法では0・1㎎/L以上の濃度が求められているが、この“おいしさ”との兼ね合いから東京都は水質管理目標設定を「0・1~0・4㎎/L」としている。 

 本当のところはどうなのか? 大阪市水道局に「塩素による消毒効果」を聞いてみた。 

「0・1㎎/L以上の塩素濃度であれば、インフルエンザや一般的なコロナウイルスへの消毒効果は高いとされています。大阪市では通常のろ過・殺菌処理などのほか、オゾンと活性炭処理も行っているため、水にウイルスが混じることはまずありえません。とはいえ、この程度の濃度では『飲んだり、手洗いで新型コロナが殺菌される』とまではいかないでしょう」 

 通常の消毒では、水道水の数千~1万倍の濃さの次亜塩素酸ナトリウムが使われているという。水道水をがぶ飲みしても感染予防には期待薄のようだ。 

【Q35】「感染者」がいても屋外なら大丈夫か? 

 ポカポカ陽気に誘われ公園で遊ぶ幼児たちの元気な姿を見かける。一部では「公園遊びも禁止」した方がいいという強硬意見もあるが、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の指摘では「密閉空間」「多くの人が密集」「近距離での会話」といった要因が重なる場所が集団感染のリスクが高いという。では、公園内に陽性者がいたとしても屋外なら安全なのか。 

「特に感染者が周囲1メートル以内にいなければ、まず感染しないでしょう。ただ、屋外であっても1メートル以内に感染者がいて、咳をしている場合は感染の可能性が出てきます」(浜松医療センター感染症内科部長・矢野邦夫氏)