栗原・城跡出土の弩機と大崎・湯花行事 宮城文化財へ答申

宮城県栗原市の伊治城跡から出土した弩機
大崎市の若宮八幡神社で行われた湯花行事

 宮城県文化財保護審議会は16日、県有形文化財(考古資料)に栗原市の伊治(いじ)城跡から出土した「弩機(どき)」、無形民俗文化財(風俗慣習)に大崎市の若宮八幡神社で行われる湯花(ゆのはな)行事を指定するよう県教委に答申した。

 弩は奈良時代に使われたとされるボーガン(洋弓銃)のような武器。指定答申されたのは「機」と呼ばれる青銅製の矢の発射装置で、長さ約7センチ、幅約4.5センチ、高さ約5.3センチ。

 弩機は1998年、旧築館町の発掘調査で伊治城跡の竪穴建物跡から出土。99年に弩機であることが確定した。国内で発見された唯一の弩機で、「文献でのみ知られていた弩の存在を証明した」と評価された。

 湯花行事は大崎市三本木新沼地区に伝わり、秋の例大祭の前日に当たる旧暦9月18日(10月中旬~下旬)に毎年、若宮八幡神社の境内で奉納される。

 地区の氏子が各家庭から持ち寄った羽釜で湯を沸かし、宮司がササを釜に入れ、無病息災を願って参加者に熱湯を振り掛ける。行事に使ったササなどは厄よけとして各家庭に飾られる。

 大枠で古くからの形式を残しており、家庭から釜を持参するという地域独特の特色や、行事が地域住民の信仰によって伝承されている点などが評価された。

 答申を受け、県教委は2月にも指定する予定で、県指定文化財は計247件となる見通し。