東京マラソン 設楽悠太、異端の偉業 30キロ以上走らず日本新東京マラソン 日本人トップの2位でゴールする設楽悠太=25日、東京都千代田区(撮影・山田俊介) 行幸通りの石畳に入ってきた設楽の足どりは軽く、ランニングパンツの裾がリズミカルにはためいた。腕時計に目を落とし、歴史の扉を開けることを確信する。右人さし指を曇り空に突き立てた。「2時間6分11秒」。26歳は史上最速で42.195キロを駆け抜けた日本人となった。 初めて走り終えてあおむけに倒れた。「限界。課題も反省もない」。持てる全てを絞り出し、高岡寿成の日本記録を16年ぶりに5秒塗り替えた。この日、風は穏やかで気温6度。良好な気象条件も味方に先頭集団でレースを運んだ。30キロでペースメーカーが外れた直後、ギアを切り替えたチュンバや井上に離されかけても、無理はしない。冷静にリズムを刻み直し、38キロ以降にリオデジャネイロ五輪銀メダリストのリレサ、昨年は敗れた井上ら4人をかわして偉業を成し遂げた。 昨年は序盤から積極的に飛ばして終盤に失速したが、今年は沿道の声援を力に変え、粘り抜いた。中間点通過が、日本記録の高岡より11秒遅かったのだから、いかに後半、強くなったかが分かる。 独自の道を走ってきた。まず「距離」の捉え方が従来と違う。「練習で40キロ走をやってもマラソンは走れない。30キロ以降は走力は関係ない。最後は気持ちでいくしかない」。今大会に向けては、一度も30キロ以上を走らず臨んでいた。 その代わりにハーフマラソンなどの実戦に頻繁に出場。「試合の雰囲気を味わってきたのは他の選手との差」。常に勝負勘を研ぎ澄まし、持ち前のスピードを磨いた。昨秋から使用した厚底シューズもプラスに働き、レース後の疲労が少なくなったことで、質の高い練習を続けられたという。 「今のやり方は間違っていない。同じ練習をすれば結果は付いてくる」。日本マラソン界の異端児は東京での自信を手に未踏の道を突き進む。(宝田将志)
#30キロ #設楽 #日本記録
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