「若者の貧困」を招く、精神疾患増加の実態
熟年世代の偏った経験からは理解できない
生活困窮者支援を行うソーシャルワーカーである筆者は、若者たちの支援活動を行っていると、決まって言われることがある。「どうしてまだ若いのに働けないのか?」「なぜそのような状態になってしまうのか?」「怠けているだけではないのか?」「支援を行うことで、本人の甘えを助長してしまうのではないか?」などである。
要するに、”若者への支援は本当に必要なのか?”という疑念である。これは若者たちの置かれている現状の厳しさが、いまだに多くの人々の間で共有されていないことを端的に表している。今回の連載を通して、「若者なんだから、努力すれば報われる」という主張など、ナンセンスであることを明らかにしていきたい。
最も若者が生きにくい先進国
若者たちは元気で健康的なはずだという思い込み(青年健康説)を、あなたもどこかに抱いてはいないだろうか。
実は彼らの健康はいま、急速に脅かされている。特に労働現場において、長時間労働やパワハラの横行などにより、精神疾患を発症する人々が増えている。彼らが受診する診療科目で、最も多いのは精神科や神経科であることをご存じだろうか。これは年々上昇傾向にあり、減少に転じる気配はない。現在進行形で、日本社会は若者の精神をむしばんでいる。
それに伴い、若者の自殺率も高い特徴がある。事実として、主要先進国において、若者(15〜34歳)の死因トップが自殺であるのは日本だけであり、若者の自殺死亡率は日本がダントツなのである。世界で最も若者が生きにくい先進国だと言っても差し支えないと思う。統計データは実に正直だ。
うつ病や不安神経症などの精神疾患は、人々の命を容易に絶たせる悪魔だ。精神障害にかかる労災請求・決定件数の増加が、それを裏付けている。周囲の人々も精神疾患に対する理解に乏しいこともある。なぜあの人は働かないのだろうか、と懐疑のまなざしを送られ続けることも、命を絶たせる遠因になっているだろう。過度なストレスを若者に与えること、精神疾患を発症させること、精神疾患が発症した後に支援策が不十分である環境などを早急に見直したい。すでに若者は相当に追いつめられている。

