非正規雇用は先進国全体で増えているという恐ろしい事実
固い話が続いていますが……
ここしばらく「働く人」の二極化、中間層の仕事が減って行くこと、楽観的な老人と、雇用や将来が不安なので保守化する若者は、決して日本だけの問題ではないということを書いております。
ここ何回かお固い話を書いておりますが、「日本のこれはケシカラン」系のコラムがお好きな読者の方が多いのは承知しておりますが、この二極化の問題は、お若い方もお年を召した方も、日本以外の傾向も知っておくべきだと思うので、「真面目腐っててつまらん」とおっしゃらずにお読み下さい。
一年中「日本のサビ残はケシカラン!」「こんな働き方は嫌だ!」「AKBをどうにかしろ!」「頭を打ったらスケートを休め!」と怒っていても生産性がないというか、時間の無駄というか、それよりご自分の先を心配しなくていいんですか、ということです。
ご自分の仕事や年金や資産の先行きを予測するのに、日本の外で起こっている動き、特にグローバルな傾向というのを知っておくのは、生死に関わる問題であります。要するに俺は将来認知症老人になってもケツを拭いてもらえるのかどうか、ということです。
北欧諸国の貧富の差は拡大している
さて、前回のコラムでは、先進国で働く人が二極化しているのは実はグローバルな現象だという論文をご紹介しました。
裕福になってきた新興国が、自国内の技術力やノウハウを磨いたことと、情報通信技術の進化により、以前に比べ、バリューチェーン(物とかサービスが動き価値が加算されていくこと)の上層の仕事ができるようになったので、先進国はより多くの仕事を外注するようになりました。先進国からは付加価値の低い仕事や海外でもできる仕事がドンドン減っている上、企画や戦略をやる人や、高い技能を持った人の給料が上がる一方で、それ以外の人の給料が下がっている上に、仕事自体が減っているというお話でした。
今回その続編です。OECDが2011年に発表した「Growing Income Inequality in OECD Countries: What Drives it and How Can Policy Tackle it ?」という報告書では先週ご紹介した記事を補足する事実が明記されています。
まず以下の表は、1980年代から2000年代にかけての加盟国のジニ係数の変化を示した物です。ジニ係数とは貧富の差を示す指標のことで、大きければ大きいほどその国の貧富の差は大きくなります。
参照:http://www.oecd.org/social/soc/47723414.pdf
貧富の差は1970年代にまずアメリカとイギリスで大きくなりはじめ、1980年代に入ると他の国にも広がって行きました。しかし、最近ではデンマーク、ドイツ、スウェーデンなど伝統的に貧富の差が小さかった国にもその差が広がっている点です。日本では貧富の差が広がったと大騒ぎの方がおられますが、それは日本だけの話ではないということです。
そして意外ではありますが、北欧諸国ではそれが大きくなっているというのも注目すべき点です。
北欧諸国はアメリカやイギリスなど「アングロフォン国」に比べれば公平な国であり、金持ちに高い税金を課して貧民にも分配するという「富の再分配」をやっているため、イングヴェイ・マルムスティーンなどの有名ミュージシャンなどはそれが嫌で自国から逃げてしまっていますが、最近ではどうもその再分配機能は弱くなってきているんではないか、ということです。
さらに前回の記事では、先進国では付加価値の低い仕事が国内から消えるか、コストを削減するために非正規雇用などに置き換えているため、トップ層以外の賃金が下がっているという指摘がありましたが、OECD加盟国ではそれを裏つけるように、1990年代半ばから2000年代後半にかけて非正規雇用の割合が11%から16%に増加しています。
これは丁度情報通信技術が発達し、金融やIT産業が以前にも増して盛り上がって来た時期と重なります。非正規雇用が増えているのはなにも日本だけの話ではないわけです。
参照:http://www.oecd.org/social/soc/47723414.pdf
次回のコラムではOECDの報告書から、なぜ貧富の差が広がっているかということをご紹介します。
