前回の続き

 

Mさん
二人の息子たちに
ありがとう
ごめん
30回は言ったかな
そして
頑張って
頼むよって別れを告げました

本気で覚悟した
意外と単純な言葉しかでてこないもんだ


11時30就寝後最初のナースコールが光らない鳴らない
すぐにベッドの壁を蹴って音を立てようとしたが不可能
頭がフル回転したが知らせる術はなかった

心臓がバクバクして
汗が噴き出した


いや大丈夫夜は痰が少ない
呼吸器点検の3時までは耐えられる


えっもつ?

カイロの水払わないと


恐れていた
トンという音
かいろ管に水がたまって吸うたびに聞こえる音


いや大丈夫
酸素濃度でアラーム
呼吸器だって馬鹿じゃないつまればなるでしょ

でも耐えられる
間に合ってきてくれる
苦しいんだろうね

志村けんの死を想像したなぜか
トンがドン
ドンがドンドン
ドンドンがボコッボコッボコッに変わっていく
管に水がたまりはじめる

どうすることもできない
ゆっくりたまってと祈るが
だんだん息苦しくなる

加えて
ゼェーが始まる
痰の合図だよ

ガーガー
むせが始まる間隔が短くなる

覚悟したよ
溺れるんだ
苦しいだろうな

あかり
ドーンと力を振り絞ってスイッチを蹴った

生をかみしめたよ
本当に涙の寸前だった

奇跡
その日は頭の高さ12度にした
いつもは8度
8度だったら水が垂れこんでいたと思う

ほぼ眠れなかった

パソコン立ち上げの瞬間
冷静に怒りを伝え
何度もあるナースコールが鳴らないということに対して再発防止策を求めた

忘れることのできない恐怖だった

もう寝る