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 それは「涙」で霞んでいるかの如く見えた。
 平成15年05月09日13時25分25秒、鹿児島県内之浦の基地から打ち上げられた第20号科学衛星MUSES-C「はやぶさ」は、60億キロの旅を経て地球と火星の間にある小惑星「イトカワ」(第25143号小惑星)との往復を成し遂げた。
 そして、平成22年06月13日(日曜日)22時51分、「イトカワ」の砂などを採取する計画のカプセルを分離し、「はやぶさ」本体は大気圏で燃え尽きた。
 その直前の22時02分、「はやぶさ」は最後の「お役目」を成し遂げた。
 それは「はやぶさ」プロジェクトチームの発案で行われた「粋」なものだった。
 役目を終えて大気圏で燃え尽きる「はやぶさ」のカメラに、一目最後に故郷「地球」を「撮らせる」ものだった。
 撮影直後に処理されて報道機関に公表された「画像」は、白い線などノイズも多く見られたが、それは涙で滲む眼、そのものだった。
 06月19日(土曜日)に、改めて宇宙航空研究開発機構が発表した画像は、はっきりと故郷を映し出していた。
 その「はやぶさ」の「声」は22時28分に消えた。

 私はその報道である映画のシーンを思い出した。
 昭和43年04月06日に米国で公開された「2001年宇宙の旅」(監督=スタンリー・キューブリック/脚本=アーサー・C・クラーク及びキューブリック監督/配給=メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)の続編として昭和59年12月07日(日本では60年03月23日)に公開された「2010」(監督・脚本=ピーター・ハイアムス/配給=同じ)で描かれた木星探査船「ディスカバリー」搭載のコンピューター「HAL9000」の終焉シーンだ。
 高度に発達した「HAL9000」は、政治的意図で「矛盾したプログラム」を与えられ、「ディスカバリー」の乗員を葬り去ったが、その調査の為に遥々木星までやってきた設計者により回復される。
 しかし再度危機が訪れ、彼等を木星まで運んだソ連の宇宙船=設計者達を救助する為に「ディスカバリー」は犠牲となる。
 その「真実」を設計者が「HAL9000」に教えた事に対して、「HAL9000」は答える。
 「真実をありがとう」
 映画が公開された時、パンナムの解体・ソ連の崩壊やその後の世界情勢の急変など想像もして居なかったろう。
 しかし、今年は紛れも無く「2010年」なのだ。
 昭和56年に発見された第9000号小惑星は「HAL」と名付けられた。
 今年で引退するスペースシャトルのうち、OV-103号は「ディスカバリー」と名付けられ、搭載されたコンピューター専用のアセンブリ言語は「HAL/S」と呼ばれる。(これは偶然ではある。)
 
 個人的にはこの「イトカワ」のクレーターの一つに「上砂川」と言うのがある事に驚きと親近感を持っている。
 25年前の昭和60年、当時の北海道鉄道研究会が団体専用列車の実験的運行を模索している頃、訪ねて、そして翌年札幌から初のイベント列車を入れた街が上砂川だった。
 その後、炭鉱跡地に低重力の実験施設が作られ、ここも7年前に閉鎖された。
 そう、「はやぶさ」が旅に出た年の事だ。

 彼が最後まで発信していた「真実」とは、どんなものだったのだろう。

(トレインタイムス転載)