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 武士の名乗りには、

 方程式がございました。

 それが、

苗字+通称+官職+本姓+諱

 でございまして、

 苗字はそのまま苗字=姓=氏。

 通称はまさに通り名、呼び名。

 例えば太郎・次郎・三郎や一郎・俊太郎・栄次郎なんてのも通称です。

 官職はステイタスネームで、

 朝廷から貰ったものの他に、

 自称していたと言うケースも多く見られます。

 本姓は、

源平藤橘

 つまり源・平・藤原・橘に代表される元々の苗字で、

 この他に秦(長曾我部氏など)・物部(勝氏など)などございます。

 実は・・・

 何太郎とか、

 何次郎とか、

 これは通称で、

 武家の男子は本姓と諱をもって一人前のオトナとなったものでございます。

 なので通称を「名」としている事がとてもとても恥ずかしく、

 また非常に悔しくて・・・

 で、

 小生は二十年以上、

「源義将」

 と名乗っているものでございます。

 さて。

 小生の先輩に、

「藤原正義」

 と言う本姓と諱=名の方がいらっしゃいまして、

 この方のお父様が

「藤原正照」

 弟さんが

「藤原正久」

 そのお子さんは

「藤原正輝」

 と、名に「正」が付いております。

 これはこの家系のシキタリなんだそうで、

 苗字も「藤原」さんではございません。

 ただ手紙の末に

「恐々謹言、藤原正義 拝」

 と書いてあるのを見て実に格好の良いものだと感服したものです。

 この方が、

 小生が安房守と自称している事を知った時に、

「房州殿」

 と書いて下さいまして、

 何だか一人前に認めてもらった気がして大変嬉しかった記憶がございます。

 この名乗り一つでも格があった時代。

名を上げよ、名を惜しめ

 と言った時代。

 今にして考えますと、

「名を上げよ、名を惜しめ」

 とは、

 単に功績を挙げて偉くなることよりも、

 如何に人間らしく真っ直ぐに生きるかどうかを心にして行きなさい、

 と言う一種の戒めであり、

 一種の人生論だったのでしょうね。

 で・・・

 名を上げていないな~