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 ジョルジュ・ランベール・カシミール・ナゲルマケールス

 国際寝台車欧州大急行列車株式会社初代社長。

 彼は年上の親類の女性に恋をして、その失恋を癒す為にと出掛けた旅で寝台車と出逢い、独創性に溢れるワゴンリ・・・コンパートメント式寝台車と列車一貫運営システムを実現して、かのオリエントエクスプレスを生み出すのですが、彼の夢は何処にあったのでしょうか。

 その答のヒントは、死亡する直前に自宅・・・と言っても城郭ですが、ベルギー王国リェージュにあったその一室で、副社長のジェニファー・カミーユに業務指示として伝えたとされている「伝説」がございます。

 オリエント・・・東洋と言う意味ですが、欧州大陸の人間から見て、中東もオリエント、なんだそうですが、その最東端は日本です。

 既にシベリア横断ワゴンリ直営列車を実現していた彼等が、ウラジオストックから敦賀を経て日本へアクセスするルートを更に強化し、オリエントエクスプレス最終目的地としたのは東京、としたものです。

 豪華さだけが強調されてしまうオリエントエクスプレスですが、ジョルジュの生涯、そしてワゴンリ社の最高経営者としての半生は「戦争」に翻弄され続けたものでした。

 1883年10月4日19時30分、パリ東駅を出たオリエントエクスプレス第一便は、同時にヨーロッパが最も激動する時代の幕開けでもございました。

ap2172 ←琺瑯製の行先標。オリジナルです。

 1905年7月10日、1845年6月24日生まれのジョルジュ60才になったばかりと言うのに、この世を去っております

 精根尽き果てた、しかし欧州だけでは無く中国・アフリカ・中東にワゴンリのネットワークは拡がり、成すべきは全て成した・・・しかし、そうなのだろうか、と小生は思うのです。

 彼の企画思想の根本を、周辺を全部削ぎ落として推察すると、

民際外交・民衆交流・相互理解

 そして

平和

 この言葉にどう経由しても到着してしまうのです。

 悲惨の二文字、その最たるものは戦争です。

 ただ単に兵隊同士をぶつけ合う事が戦争ではありません。

 相互に存在を否定する事、その「非理解・非寛容」が戦争の根底ではございませんか?

 小生は大風呂敷を拡げるのでもなんでもございません。

 日本最大最速最美の蒸気機関車C62形式の永久的重連運行の実現、その先にはTokyo gale de Nord to Paris gale de Nord・・・東京北駅(上野)~モスクワ・ベルリン~巴里北駅間「東京オリエントエクスプレス」が待っております。

 それを実現せよ、と彼が訴えているのであります。

 その基本理念と究極の目的は「平和」。

 非戦では無く、理解と寛容と尊敬に裏打ちされた、民衆の混濁交流に開花する不戦、その結果としての平和

 ナゲルマケールスが我々に遺した最高の遺産であり、この惑星の全ての生命が希求するものは、それに向けて一歩を踏み出した「たった一つの勇気」が実現するのです。

 地球環境・貧困・不透明な経済

 核ミサイル誤魔化された見せ掛けの鍍金な平和になど、民衆を安堵させる力は無い

 ネクタイを締めて勲章に彩られた人々だけで作られる国際社会など、爪の上の露ほどのもの

 弾丸を握手に変えて、儀礼を笑顔に変えて、官僚を婦人達のお喋りに変えて

 そんな平和が、東京オリエントエクスプレスを実現する最大の資金源であります。

 ああ・・・腰痛なんて言っていられないわなぁ。

(参考文献 中公文庫 オリエントエクスプレス物語/ジャン・デ・カール 著/玉村豊男 訳)