学生時代って、とにかく小生の場合は常在空腹!でした。


 何であんなに食えるのだろう?とにかくまぁ良く食べたもんですわ。


 そんな小生が大切にしたのが「食べられる所」です。


 最初は単に空腹を満たす場所でしか無かったんですが、自分が教えて欲しい仕事・・・例えばホームでの放送とか、到着列車の「貫通」(忘れ物や落し物の確認の為に列車を巡回すること)とか・・・それを教えて貰う、と言うか、やらせて貰う為には食事当番を買って出るのが一番!


 ってなもんで、、自分も作る側に回ってからは、その調理方法を盗むと言う目的も加わりまして、食堂は大切な場所になりましたね。


 当時、国鉄上野駅には、じゅらくが直営していた職員食堂(社食と呼ばれていました)と、「車掌区の社食」、そして駅外の飲食店が大抵御用達でした。


 じゅらくの社食は、広小路口を入りまして右が駅長室、現在はレストランだかの階段で名残を留めてますが、その反対、不忍口改札へ向かいます途中の降りる階段を降りて、その階段の右袖にひっそりと入口がございました。


 狭い地下室の食堂は殺風景で、お世辞にも豪華やら快適やらとは言い難いものでしたが、とにかく安い!


 カレーライスは260円、カツどん330円、とんかつ定食400円。


 小生はカツどんばかりでしたね、それとカレーライスの頻度も多かった・・・


 とにかく入りたての頃は、上野駅学生臨時雇用員も実は人手不足で、殆ど毎週金曜日から日曜日まで、日勤・夕勤・泊りと仕事を入れまくっておりました。


 夏になる頃にはすっかり顔なじみになりまして、食堂のオジサンやオバサン達とも挨拶を交わす程度に。


 給料日は月に3度ありまして、10・20・30日だったと・・・


 昭和55年7月のある日、本当は国鉄職員規定違反なんですが、正規の仕事では無い日にも出て来ましてホーム事務室で食事当番をしながら放送をさせて貰ってりまして、とにかくほぼ毎日なもので、庶務(駅の総務係で学生臨雇部隊の管理はこちらでした。)や煩い助さん達に見つかると怒られるので、さっと作ってさっと逃げる(笑)なんて事をしていましたらやはり手銭が底を・・・


 それで社食へ逃亡し、カレーライスの食券を出しましたら馴染みのオバサンが、


「あら、今日は大盛じゃ無いの?」


「あ・・・給料日前で・・・」


 そうしたら周りを見回して、カレー皿にご飯を押し込んでくれるのです


 勿論、そんな事をしたらご飯が潰れて美味しくは無いのですが、せめて少しでも多く食べさせたいというオバサンの優しさは痛い程伝わりました


 あと、閉店間際に行ったらこっそりおにぎりを作ってくれたオジサンもいらっしゃいました。


 その優しさが最高の栄養でしたね、どんな高級カレーより、どんな厳選された国産新米による高級おにぎりより、美味しいものでした。


 忘れられない、そして忘れてはならない味です。


 一部の学生達に人気だった「車掌区」は、2度しか行きませんでした。


 大好きだった上野駅の風景の一つ、地平第5ホーム(20番線)の跡地に出来た恨みもありまして・・・


 先輩達が時折連れて行って、ご馳走してくれたのが上野駅浅草口を出て歩道橋の目の前にあった古い雑居ビルの2階にあった喫茶店「サンゴ」


 ここの「やさめ」こと野菜炒め定食がとにかく絶品でした。


 野菜とハムとをコンソメで炒める、それとご飯・味噌汁・コーヒーが付いて550円


 未だに真似の出来ない美味しさです。


 分割民営化後も「サンゴ」は残ったものの、ビルの取り壊しで高田馬場へ移ったとか。


 このマスターに一つだけ調理のコツを教えて頂いた事があります。


「肉はどんな安いものでも包丁でしっかり叩いて、コショウを利かせてからちょっとだけお酒入れて蒸すんだよ、そうすれば大抵、柔らかくて美味しいものになるよ。」


 丁度「サンゴ上野店」の最終日に行けまして、小さい花束を持っていったら、


「あんたは随分若い頃から来てくれたね、旨そうに食ってくれるからこっちも嬉しいんだ。」


 と言って、最後に何も言わないのに「やさめ」を作ってくれました。


 悲しいとか、寂しいとかより、暖かい、美味しい


 なのに涙が込み上げてくるのですなぁ・・・


 そんな大切な場所、それが小生を育ててくれたんです。


で・・・育ってみたら磨きの掛かった変態野郎では・・・とほほ・・・


 女性の皆さん!


 殊に恋に恋する乙女の諸君!


 男を落とすにゃ「食い物」が一番実効性が高い。


 肉じゃがとかオムレツとか言いますがね、とにかく最初は標準的で簡単で、ありふれたものから「慣らす」のが一番良いです。


 美味しいものを食わしてくれる相手を、粗末にする事ってのは先ず無い。


 生物の本能、なんですかねぇ。


 男性諸君にも一言。


 相手が一生懸命作ってくれたものを無口に食うなよ


 で、自分の味覚はこうなんだけれど、とそっと教えて上げるんだぜ!


 そんな恋路は小生には本当に縁遠かった・・・だから、恋一つの記憶にメニュー一品残す位の勢いで!


 皆さんの「大切な場所」はそんなところにある筈ですからねぇ。