昭和30年(1955年)12月24日のクリスマスイブ。郊外にある早蕨村(さわらびむら)。ホテルのロビーに2人の少女が元気に姿を現した。宿泊客で橘・元子爵の令嬢・瑠璃子とホテルのオーナー、二百郷洋蔵の娘・朋子。ふたりはロビーで写真を撮った後、森の中へと散策に出かけていく。しかし、突如、瑠璃子がバックを残し失踪してしまう。

平成24年のロンドン。75歳の朋子が
「ヒナギクじゃなかった。茜があぶない。あの子を助けて」
と言い残し亡くなってしまう。

茜にとって瑠璃子は大叔母にあたり、朋子が亡くなった事を屋敷で聞く。
特命係の右京さんの元にも、朋子の弁護士の石川から連絡を受ける。そして朋子の亡くなる直前の言葉も知らせてもらい、「茜が危ない」の言葉から、茜の元にカイトと共に訪ねる。

二百郷の屋敷につくと人だかりが出来ていた。地元の警官の話では空き巣が起こり、家は荒らされ、番犬も殺されていたという。茜が番犬(タロウ)を埋葬しようとした時、カイトはタロウを撮影し、首元にスタンガンのキズを見つける。右京さんは屋敷を調べると、盗まれたのは現金8万円。家の者が留守中2時間の間に窃盗があった。しかし、短時間で全ての部屋を見るのは不可能に近いことから、複数犯が空き巣に見せかけるための工作をし、犯人は別の狙いがあったと推理する。

茜は二百郷の当主として使用人の急造と加代と3人で暮らしていた。
朋子の死に際の言葉について尋ねても、覚えがないと答える。しかし、何か隠している様子。その後、急造から茜の安全を守る為に、せめて一晩泊まってほしいと頼まれる。

部屋でカイトから朋子との付き合いを追求されてようやく、右京さんは語りだした。
朋子との出会いは10年前のロンドン。
吹雪の中、ポストに手紙を出した朋子が右京さんを見て、涙を流し突然倒れた。そこを介抱した右京さん。朋子の話によると右京さんは朋子が女学生の頃に憧れた人に似ていたという。しかし、その人といつ出会い、そしてそれが誰なのか過去に恐ろしい事があったために覚えていないという。

夕食時、ホテルの事を茜に尋ねるがは詳細は知らず、朋子ともクリスマスカードのやりとりをするくらいで、実際に会ったのは1度だけと言う。
その時に神隠しについて調べるライターの遠藤が屋敷を訪ねる。遠藤から早蕨ホテルの森の中で瑠璃子失踪の話を聞く。さらに急造たちから瑠璃子が失踪した日にホテルに火災が発生し、朋子の両親共に亡くなった事を聞く。つまり、朋子にとって同日に友人と両親が亡くなった。これが朋子の恐ろしい出来事なのだった。

右京さんの調べによると朋子が無くなる直前、「早蕨ホテルにて」とメモを渡した怪しい男がいたらしい。その男によって57年前の事件を思い出し、茜の危険を察知したのでは・・・。
事件を調べることにした右京さんは屋敷の納戸から早蕨ホテルの顧客名簿を事前に見つけていた。しかし、二人のやりとりを盗聴する男たちがいた。

翌朝、村の人達に話を聞く右京さん。右京さんは村人たちが二百郷の人にヨソヨソしい雰囲気を感じとっていた。村人たちによると二百郷の家は「泥棒の家」と言われているらしい。

カイトの元に米沢さんから知らせが番犬の傷は棒状のスタンガン。出店と呼ばれる公安の実働部隊のものと同じものの可能性がある。急いで茜の養蜂作業場にカイトが向かうと巣箱が全てひっくり返され、茜も何者かにつけられていたらしい。

カイトが右京さんに出店や作業場について報告すると右京さんは茜に朋子から何か預かってないか尋ねると瑠璃子のスクラップブックが送られた事を話す。瑠璃子が行方不明になった後、朋子が形見として預かり、早蕨に戻してほしいと言われ茜の元に送られたらしい。中を確認するとスクラップブックの中身は当時の日記のようなものだった。出店はこれを狙っていたのか?

茜から郷土資料館を案内してもらったカイト。そこで館長から二百郷洋蔵について話を聞く。ホテルの火災の原因は不明で、洋蔵夫妻以外にもう一人死亡者がいたことが判明。しかし、身元は不明で、顧客名簿の名前はデタラメだったために当時では詳しく追及することは出来なかったらしい。右京さんが名簿を見ると、当時の風俗に詳しい永沢子爵の名前を見つけ、茜と一緒に永沢子爵の詳しい資料が保管されている山岸昭和記念館を訪ねる。

しかし、そこには職員の小島が既に死んでいた。捜査一課の現場検証によると永沢子爵の備忘録を含む文献が盗まれていたことを知る。さらに館長が持ち帰っていた閲覧記録を調べると事件前に警察庁とだけ書かれた記録を見つける。閲覧記録に名前が無い事から事件に警察関係者が関わっている可能性が高い。捜査一課が警察庁を調べるべく帰った後、右京さんは職員から話を聞くと、備忘録は盗まれたがデータは残っている事を聞く。

パソコンデータから瑠璃子失踪とホテル火災があった日の備忘録データを見つける。記述によると永沢子爵はロビーで法務省の国枝そっくりな男を見つけたがフロントによると中林秀雄だと記録されていたと一文を見つける。法務省の国枝とは、当時、警察庁設立にあたり、公安にあたる諜報部が不法な手口を記した記録書、国枝文書の作者であった。国枝文書の存在は公安にとって不都合なモノが多い。二百郷の屋敷を探った輩もこれを狙った可能性が高い。

茜をつれてレストランで食事をする特命。カイトが支払している中、右京さんと茜の二人は先に車に戻ったところを何者かに襲われる。しかし襲撃を呼んでいた右京さんは茜の替え玉に柔道3段のカイトと同期の大石婦警を用意していた。そして、その隙に茜を連れ出すカイト。

花の里で皆と合流し一息ついていた所、大石が車の中に携帯を忘れた事を思い出し、車に戻ると大石が何者かに襲われる。初めに襲った人間が出店だとしたら茜が替え玉だと知っていた。なので二度目の襲撃は出店の可能性は低い。公安以外に茜を狙っている存在がいる

カイトの部屋に戻ると、茜に二百郷の歴史の事を尋ねる。村人の噂によると火災直前の早蕨ホテルでは宿泊客が「金返せ」と騒いでいた事から、宿泊客の金品を盗難されていたと考えていた。しかし、当時の旧華族は財産は戦後まもなく財産のほとんどが国に没収されていた。つまり旧華族が毎年ホテルを訪れる余裕があるわけがない。
そこで右京さんは旧華族について事前に調べていたら、資料をあつかっている人物から茜も資料を調べていた事を話す。茜は当時、村人の態度を不思議に思い父親に問い詰めていた。父親によるとホテルオーナーの洋蔵夫妻は旧華族の財産を没収される前に旧華族の財産を預かり、早蕨ホテルに隠していた。しかし、火災により洋蔵夫妻が亡くなった後、秘密の隠し場所が分からず、財産が戻らなくなった事から旧華族は全て没落していた。自分の身内がそのような不正をする訳がない。一族の疑惑を解消したいと思っていた茜は独自に調べていたのだった。また公安が動いている事から、またその秘密の隠し場所に国枝文書が隠されているのでは右京さんは考えていた。

実は茜が一度だけ朋子にあったとき57年前の事件の事を聞いていた。
瑠璃子が失踪した年、普段はしないホテルの探検を瑠璃子はしていたという。そして失踪前日、瑠璃子は見た事の無い青い顔をしていた。尋ねると屋根裏部屋を探検していたと言ったが様子がおかしいと不思議に思い、瑠璃子の部屋の前に行くと瑠璃子の父親と言い争いが聞こえた。瑠璃子が朋子の部屋に戻ってくると急に泣き崩れた。しかし、翌日には様子が戻っていた。しかも永沢子爵の備忘録にあったように、瑠璃子は「宝物をみつけた」と子爵に証言していた。朋子は宝物について尋ねると、宝物とは「ここで朋子と過ごした時間よ」とだけ伝えられた。宝物が秘密の隠し場所なのか?特命係は早蕨に戻ることを決意する。

屋敷に戻ると右京さんは瑠璃子失踪の資料を集落(村)の駐在所から見つけていた。
資料によると事件前日、ホテルの外で郵便夫が様子のおかしい瑠璃子見かけていた。その後、郵便夫は瑠璃子の身を案じ更に怪しい人物がいないか調べていたら、外を出歩いていたのは洋蔵しかいなかった。つまり、瑠璃子は洋蔵の秘密の隠し場所を見つけてしまい自分の親たちが横領している事を知り、絶望したのでは。しかし翌日には永沢子爵に宝物を探している事を見つけている事から、このままでは子爵に気付かれる可能性がある。なのであえて恭順する振りを子爵に見せたのでは。
秘密の隠し場所を発見したと思われる日。スクラップには不思議の国のアリスの挿絵と「朋子さんの花」とだけ書かれていた。朋子の誕生花はヒナギク。朋子の死に際の言葉からヒナギクではない。朋子は暗号の謎を解いていたのでは?

茜によるとホテルの備品には全て月下美人の花が記されて、洋蔵からは「闇に咲く花」と言われていた事を知る。右京さんは屋敷の外を出て、角田課長にある事を依頼する。

ライターの遠藤が屋敷を訪ねてきたとき、大工の振りをして警備していた大木さんがコンセントに仕掛けられた盗聴器を見つける。今までの会話を聞かれたと思い、カイトは右京さんを探しに外へ向かい、残った大木さん、小松さんが手分けした全ての盗聴器を見つける。茜がお茶を入れると突然、小松さんと急造、加代が苦しみだした。毒を飲んだ可能性がある。茜の元を離れるわけにいかないと思いながらも、大木さんが病院に運ぶ。

カイトは外に出ていた右京に盗聴器の事を報告すると早蕨ホテル跡の近くに出店がいることを見つける。先を越されたと考えられるが、月下美人は夏の花。瑠璃子失踪は12月に月下美人があると考えにくい。しかし挿絵をみたカイトの一言で右京さんはある事に気付く。また事前に角田課長にお願いした答えがメールで連絡される。

屋敷に急いで戻ると遠藤が茜を人質に取っていた。毒を盛ったのも遠藤の罠だった。その後、遠藤の指示により手錠を掛けられてしまい、挿絵の謎解き解説させられる。アリスのお茶会によるとお茶会の時間は永遠に6時で止まっている。納戸にある洋蔵の時計を調べると月下美人の模様を見つける。そしてヤミニサクハナ=8323987の通りに針を動かすと、地下への隠し扉が開く。
遠藤の指示により先を歩くカイト。地下室のあかりをつけるとそこには旧華族のものと思われる財産を発見。

そこで右京さんは事実を語る。遠藤の正体は永沢子爵の孫だった。遠藤は二百郷に預けた自分の財産を取り戻すために行動していたのだった。そして資料館を訪ね永沢子爵の備忘録から瑠璃子が旧華族の財産を見つけていた事を察知。さらに朋子を訪ねて、スクラップブックの事を知ったのだった。自分の他に二百郷を探っている輩がいる事を知り、自分の正体がバレルのを恐れ、資料館の閲覧記録を取り返すために資料館に忍び込んだら、運悪く残業していた小島に遭遇したので殺害したのだった。

右京さんが「財産の中身が本当にあるか確認したらいい」と遠藤が茜から目を離した隙に茜を救出し遠藤を取り押さえた。
その後、宝物庫で国枝文書を見つける。その時に出店が入ってきた。事前に遠藤の上着に発信機を仕掛けていたのでここの場所が突き止められたのだった。カイトが拳銃を突きつけられた時、右京さんが一瞬の隙をついて明かりを破壊。暗闇になった瞬間、捜査一課が突入してきた。捜査一課は事前に早蕨ホテル跡のそばにあった、公安の車両を取り押さえ、その時に盗聴器から遠藤やカイトのやりとりを聞いていたために場所が分かったのだった。

国枝文書の箱を開けると、文書はカビだらけでとても読めなかった。毒を飲んだみんなも無事に戻り、右京さんは57年前の事件を話す。

事件当時ホテルにて、ある人物は永沢子爵と瑠璃子のやり取りを見ていた事から、瑠璃子が秘密の隠し場所を知っている事を知っていたと語る。ある人物とは・・・それは永沢子爵の備忘録からホテルのポーターでその正体は急造。
当時、旧華族の財産が没収されたことでホテルの経営は急激に悪化していた。だが旧華族は財産の保管を命じておきながら、宿泊代金を払わない事に怒りを感じていた。瑠璃子と子爵の会話から瑠璃子が隠し場所を知っていると考え、森の中で瑠璃子を脅かせば隠し場所を吐くと思っていた。しかし、瑠璃子は急造の顔を見ると持っていた石を捨て、抵抗するのを諦めたかと思った瞬間、自ら飛び降りて死んでしまったのだった。

右京さんの憶測によると
瑠璃子は財産の没収により施す側から施される側に立つことに耐えられなかった。しかし自分は父親に従う生き方しか出来ない。その事が死ぬことよりも辛いと考えたか自ら死を選んだのだった。
さらに、火事の真相についても語る。火災の火元は最上階からであった。なので被害者は洋蔵夫妻と身元不明者の3名だけだったのだが、2階に部屋があった朋子もなぜか怪我をしていた。非難は簡単にできるはずなのに・・・。朋子は前日、瑠璃子が屋根裏部屋に行った事。そして宝物を見つけたと証言したことから、失踪した瑠璃子は屋根裏部屋にいると考えたのだった。しかし当時、屋根裏部屋に電気は通っていなかった。なので明かりは蝋燭の火しかなかった。つまり火災原因は朋子の蝋燭にあったのだった。そして、自分の憧れの人物であった国枝も火災に巻き込んでしまった。この悲しい事実が朋子の記憶を封じていたのだった・・・。

事件解決後、急造の証言から、瑠璃子の遺体がレンゲ畑で発見され、急造は自殺してしまった。残った茜は養蜂業を続け、前向きに生きていく事を誓ったのだった。