前回に引き続き、昨年の選抜優勝校「大阪桐蔭高校」を
「Sports Graphic Number Web」より引用して紹介させて頂きます。
逸材が謙虚になったら隙はない。
こりゃあまいった、と思った。
逸材たちが謙虚になったら、もう隙はない。
最初の2回で8点。1イニング置いて、さらに4点。試合中盤は、
それでもいくらかのめってはいたが、終盤は修正して、合計
14点を奪って試合を締めた。
オレがオレが……の“ブンブン丸”の行列にならねばいいが。
そんな不安は杞憂に終わり、大阪桐蔭の逸材たちは最後まで
地に足の着いた、理にかなったバッティングを続けて、センバツ
連覇の栄誉に輝いた。
大阪桐蔭の主力が、なぜ草むしり?
思い出した場面があった。
1月の末に近い頃。ある雑誌の取材で、大阪桐蔭のグラウンド
にうかがった時のことだ。
練習たけなわの時間に、主力選手の1人がグラウンドの外にいる。
そこでバットやグラブを手にして特別な練習をしているわけでもなく、
体力アップのためのトレーニングをしているわけでもなさそうだ。
見える場所まで行ってみたら、彼がしていたのは「草むしり」だった。
正直、驚いた。
“本番”まで2カ月。主力選手なら10分でも15分でも余計に練習して
いたい、練習してほしい時期、しかも優勝候補筆頭・大阪桐蔭の
主力である。
なにが理由なのかは訊かなかったが、この時期に草むしりなら、
それ相応のことなのだろう。
見ないふりしてチラチラ見ていると、彼は雑草の生えた場所を、
端からきちんとむしっているようだ。
そして、その雑草を手押し車に集めると、決まった場所まで運び、
そこにきちんと積んでいく。
ペナルティーを課せられた“いや気”や投げやり感がない。
むしろ、指示されたことに向き合って、ひたむきにこなしている。
丁寧な仕事をしていた。
「Sports Graphic Number Web」より引用しています。
第3回 「今、自分がやることは“これ”なんで」
を紹介します。
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