今回はとある方々のご厚意により運良く得られた旅客機プラモデルを取り巻く環境に関する情報をご紹介します。


雑誌から得られた情報によると、旅客機プラモデルの最盛期は1990年代とのこと。ハセガワに着目すると、当時は日本のエアラインはもちろん、海外エアラインキットも沢山目にする機会がありました。

その名残?で、中古の模型を取扱うお店やネットでは海外エアラインのキットも未だに散見します。

さらに、機種についてもB727/B737シリーズ/B747シリーズ/B767/B777/B787/DC3/DC9/DC10/MD80シリーズ/MD90/MD11/A300シリーズ/A320シリーズ/A340(1/400)/YS11/E170/トライスターなど数々の種類が販売されていました。


スケールは1/200をはじめ、1/400、1/144、たまごヒコーキが取り扱われていました。


2000年代はじめから、その数は減少を続け、今では特定の機種やエアラインの販売となり、定番商品ですら再販という形で市場に出回っています。


なぜこのような事態になったのか?

今のところ得られた情報は次のとおり。


旅客機スケールモデル界は2000年に入り、完成品モデルがその種類と数を伸ばしてきました。旅客機モデルは作るよりコレクションを好むファンが多く、買い手の多くは完成品モデルへ流れてしまったという経緯があるようです。

コレクターのほとんどは製作工程を好まないとのこと。合わせ目消し、パテ盛り、サフ、塗装、難しいデカール。。。確かに慣れない方にはハードルが高いです。今はお金を出せば完成度の高いモデルが手に入りますからね。

そうなると旅客機プラモデルの販売数が伸び悩むのは理解できます。


次にライセンス問題。

いわゆる版権という俗語で言われる商標権、意匠権、特別塗装機においては著作権、人格権なども含まれるのだとか。

昔は版権に今ほど厳しくなかったのでしょうか。

今は旅客機プラモデルを製造する場合、旅客機製造メーカー(BOEINGやAIRBUSなど)に許諾契約を取り、そこをクリアしたらライセンス料を支払うという第1の壁があるようです。

次にエアラインに対しても同じく許諾契約を取り、ライセンス料を支払う過程があるようですが、問題となるのがエアラインから許諾を得られるのが非常に難しいことらしいです。特に海外エアライン。ハセガワが当てにしていたエアラインも交渉失敗した過去があるようで。。。

世界には多くのエアラインが存在し、探し回ればどこかしら許諾を得られる所はありそうですが、そもそも莫大な旅費をかけて探し回って商品にしたとしても旅客機プラモデルが売れない=商売にならないという現実があるようです。


さらに特別塗装機キットになると、キャラクターやタレント、イラストを使用することがほとんどでそれらに対する許諾契約とライセンス料を支払うことになります。

2重3重の許諾契約と支払いが旅客機プラモデルを製造するうえで壁となり、さらに商品はライセンス料、各種経費、物価高騰の影響を受け高額設定となることが想像できます。

旅客機プラモデルが売れない今、このような高額な商品を出しても商売にならないのが現実と理解しています。


A380やA350が運航開始となった際、ハセガワとしてもビジネスチャンスだったようです。しかし、上記の理由が壁となり、泣く泣く断念せざるを得なかった経緯があったのだとか。


完成品モデルは、今もかなりの商品が次々と生産され、最近ではフラップ下げやドアが開くタイプまで出ています。

その状況で旅客機プラモデルの勝ち目は。。。と考えると現況に納得せざるを得ないのではないかと思います。


旅客機プラモデルも単に作って飾るデスクトップ的な部分から脱却し、フラップ下げ、ドアオープン、逆噴射などの表現を取り入れて次のステップへ進めると更に面白みが出るのではないかと個人的には思ってます。