活性酸素(Reactive Oxygen Species, ROS)とは、酸素が体内で代謝される過程で生じる不安定で反応性の高い分子です。通常の酸素分子に比べて電子が不安定な状態にあり、他の分子と容易に反応して細胞にダメージを与える可能性があります。これが「酸化ストレス」と呼ばれる現象を引き起こし、老化や病気の原因になることがあります。
活性酸素の種類
活性酸素にはいくつかの種類がありますが、代表的なものとして以下があります。
- スーパーオキシドアニオン(O₂⁻):呼吸や代謝活動の副産物として生成される。
- 過酸化水素(H₂O₂):スーパーオキシドアニオンが変換されたもの。比較的安定しているが、さらに反応して有害なフリーラジカルを生じる可能性がある。
- ヒドロキシラジカル(OH⁻):非常に反応性が高く、DNAや細胞膜を傷つけやすい。
- 一重項酸素(¹O₂):紫外線や放射線などの影響で生成されることがある。
活性酸素の影響
活性酸素は、適度な量であれば免疫系が細菌やウイルスと戦う際に利用されます。しかし、過剰に生成されると以下のような健康リスクが生じます。
- 細胞の酸化:細胞膜やDNA、タンパク質が損傷し、老化が進行する。
- がん:DNA損傷ががん細胞の発生リスクを高める。
- 動脈硬化:酸化されたLDLコレステロールが血管壁に蓄積し、動脈硬化や心血管疾患を引き起こす。
- 神経疾患:アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患とも関連がある。
活性酸素の抑制方法
活性酸素の影響を抑えるためには、抗酸化物質を含む食品の摂取が効果的です。抗酸化物質は活性酸素を中和し、酸化ストレスを軽減する働きがあります。代表的な抗酸化物質には以下のものがあります。
- ビタミンC:柑橘類やピーマンに豊富。
- ビタミンE:ナッツ類や植物油に含まれる。
- ポリフェノール:緑茶や赤ワイン、ベリー類などに多く含まれる。
- カロテノイド:ニンジンやカボチャなどに含まれるβ-カロテンや、トマトのリコピンなど。
また、ストレスを避けることや、適度な運動、十分な睡眠も活性酸素の発生を抑えるのに役立ちます。