引きこもる人の親御さんだけのことではないのですが、よく、講演などでいろんな先生が、「親が変わることが大切だ」と言うと思います。しかし、「変われと言われても、どのように変わったらよいのか分からない」とか、「変われと言われても、変われるものではない」と思う親御さんが多いのが現実です。
変わるということは、決して簡単なことではありません。変われと言われて、それでは早速と変われる人など、皆無といっても良いでしょう?
ただ、変わらなければ、我が子も変わりません。
「変わる」ということをどのように捉えたらよいのでしょうか?
私は、「原点に返って、いろんな視点から考える」ということと捉えてみてはどうかなと思います。
例えば、いつも暗い感じのする人がいます。その原因を考えてみると、どうしても、いろんなことを前向きではなく、後ろ向きで考えてしまう癖があるからではないだろうかと思います。
物事の考え方というのは、無数にあります。前から見たり、後ろから見たり、横から見たり、いろんな角度から見ることができます。
例えば、円筒形のコップがあったとします。これを上から見れば、「コップとは丸いものだ」と思うでしょうし、横から見た人は、「コップとは長方形だ」と思うのではないでしょうか? 斜めから外形だけを見た人は、「薬を入れるカプセルのようなものだ」と思うかもしれません。そのように、物事の見方というのは、無数にありますし、無数にあることを知ることが大切ですね。
いろんなことを後ろ向きで考えたり、否定的に考える人は、どうしても、一方向からしか考えていない場合が多いように思います。こちらがいろんな話をしても、「そんなことを言ったって、これはこうなのよ」という感じで、決めつけてしまいます。
一つに決めつけるよりも、「他の考え方はないだろうか?」と考えてみる方がおもしろいと思いませんか?
一つの方向から見たら、自分に不利なだけだとしか思えなかったことが、逆に自分を有利に導いてくれるかもしれないと思えることも、実はたくさんあるのです。
典型的な例は、大嫌いな上司をどう見るかということです。自分で何もせず、自分ができないことを部下に押しつける上司もいますね。そんな上司の部下でいたら、ストレスばかりが溜まって、いつもむかむかしていなければならないですね。
でも、そんなとき、その上司を他の角度から捉えてみることはできないでしょうか? 上司の人間性をもっと良く分析してみたり、上司の過去の育てられ方を考えてみたり、上司に使われるのではなく、逆にどうしたらうまくその上司を使うことができるのか考えてみたり、他にもいろんな視点から考えてみると、上司のことがよく分かるようになると思いますし、そのことを通じて、自分自身が成長できるように思うのです。そうなると、上司は自分のため(自分を成長させてくれる)になってくれた人になりますよね。
そのように、いろんな視点から考えることによって、次第に人は変わってくるように思います。否定的な見方だけでなく、前向きにも見ることができたのだなとか、落ち着いて物事を見つめることができるようになるかもしれません。引きこもりに関して言えば、引きこもることは、マイナス面だけではないなというように、次第に変わってくるように思いますが、いかがでしょうか?