それは綺麗な装飾が施されていて
透明感の溢れる写真が表紙の本だった
名のある文学賞に選ばれた新人作家であると
帯に赤い文字で宣伝文句が並んでいた
ハードカバーで重みがあり
本としての存在感を纏っている
本文の8割を情景描写に使われ
作家の書評に踊る文字のように
感情は拝され線だけが動く描写
主人公の感情を吐露する事が目的でなく
彼を取り巻く情景を描写することに専念された文章
そこに描かれる描写には感情が込められているが
それが何処の誰のものであるのか
著者本人が反映されているであろう部分もあれば
それは 何処かの誰かのようでもある
読者に求められているモノが何であるか
“共感”と呼ばれるひどく曖昧で不確かな
意図的であるか否かではなく
ただそこに記されている文字の羅列が持つ意味
現在は小学生だって作家であり表現者なのだ
良いか悪いかという尺度ではなく
“共感”できるか否かという
虚構を埋めるタメの何かを欲する
現代人の根源的な欲望
満たされない何かを埋めるタメに
カネを払いナニかを買う
感情を欲を音楽を時間を力を場所を