あのころの給食の味を
今もまだ覚えてるだろうか
誰かを好きになるという感情を
知ることの無いままに過ごした時を

放送室のカビ臭い匂いに混じる
かぼすの芳香剤の香り
きちんと整列するカセットテープ
どんな形にも曲がる変幻自在のマイク

放課後に流れるイエスタデイ
黄金色に光るグラウンドで
かすり傷をつくりながら走る
やたら運動神経のいい担任の先生

住み心地の良い職員室
消毒のにおいに満ちた保健室
さけの卵を保管していた理科準備室
自由帳を夢で一杯にしたクラス

少しボロくさい校舎の中で
数え切れない程の言葉を交わし
汗をかき、怒られ、涙を流し
カーネーションを手にして去った

体育館に響く上履きの音と
壇上の片隅に置かれたピアノと
さらにその裏にある体育倉庫と
僕らが努力した放送機材

鮮明に思い描くことのできない
この断片的な情景の画を
僕の奥底にある記憶という装置は
モノクロームという形でスクリーンに映し出した