朝が来るまで語り合った僕ら
偶然であったあいつと話したよね
酒に弱いのに 君と僕といったら
真っ赤になって笑っていたよね

鉄壁の壁を持っていた僕は
自分の殻の中に閉じ篭ってた
ひょっこり顔を出しては
誰かが近寄れば サッと身を隠してた

下手くそで単調なリズムを
君は僕の前で静かに奏でていた
知り合いに借りたんだって
うれしそうに笑いながら

君が僕を誘ったバンドで
僕は歌を歌うことになっていた
聞いたこともないアーティストの
マイナーなアルバムの曲を

僕らのバンドのメンバー
みんな音楽初心者で
周りに溶け込めない奴ばかり
君が中心の即席バンドだった

本番当日に僕は風邪をひいてしまって
声がボロボロでどうしようもなかった
歌詞もうろ覚えで自信がなかった
そんな時に君は言ったよね
゛間違えてもいいから思いっきり歌っていいよ″
ってね

その言葉で僕は思いっきり歌えた
声も心から叫ぶ事ができたんだ
演奏も途切れ途切れだったけど
そのときの僕らのそれがすべてだった

その後 僕と君はサークルを辞めた
それぞれ違う理由があったんだ
こうして 僕らは別々の道を歩くことになった
それっきり会うこともなくなった


たった一度だけ 駅で会うことがあった
改札を抜けた所で僕の肩を掴んだ君
久しぶりだねって君は言った
そうだねと僕は言ってじゃあねと別れた

あの時 君は僕に何を言いたかったんだろう
今になって僕はそんなことを考えている