捨てられた命との最期のお別れ | 【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

鹿児島で動物病院を経営しつつ、飼い主さんがペットに1つでも多くできることを提案できる場として、ペット関連のイベントや講演をしています。
http://www.ruoona.com/
http://www.alohapet.info/

先日、子猫が捨てられていたというお話を書きましたが、

 

ちょうど4年前の今頃も、病院の前に捨てられていました。

 

 

先日の記事はこちら


子猫を無断で病院に捨てる人はただの偽善者と言いたい


 

キャリーケースに、母猫と子猫と一緒に。

 

 

そして、この時も、先日同様、手紙が添えてありました。

 

(手紙に人見知りしまうと書いてあったとおり、なかなかなつかない子でした)

 

 

 

ただし、それは

 

大人の字ではなく、

 

子供の字で書かれたものでした。

 

 

 

{9257E99D-7EFA-4399-9772-5A16FAF38BA3}

 

 

小さい子が親から飼うことを反対され、泣く泣く病院に捨てにきたのだろうか?

 

と思う方もいらっしゃるでしょう。

 

私も最初はそう思いました。

 

 

 

ただ・・・

 

子供だけでしたには、丁寧すぎるやり方で捨てられていました。

 

 

 

雨が降っている日でしたが、

 

キャリーケースにキャラクターの毛布とともにいれられていて、

 

その上から雨に濡れないようにさらにビニールで覆ってあり、

 

そして、手紙は濡れないようにファイルケースにいれ、

 

見えるところに添えてありました。

 

 

 

小さい子がここまで丁寧にするでしょうか・・・

 

 

 

手紙は一度書き直してありました。

 

かぜをひいているので、なおしてあげてください。

 

その文字は消してあり、

 

わたしのおうちではかえません。たすけてください。

 

と書かれていました。

 

 

 

 

病院の前に捨てられていた親子は、

 

風邪をひいていて、鼻水も目やにもすごい状態でした。

 

 

私たちスタッフが見つけたときには、

 

一緒に捨てられていた子猫は、

 

キャリーケースの中で、亡くなってしまっていました。

 

 

 

助かった母猫は、病院で保護し、風邪の治療をしました。

 

もちろん、避妊手術もしました。

 

血液検査もしましたが、猫エイズ陽性でした。

 

 

風邪をひいた状態で長いこと飼われていたのでしょう。

 

風邪は慢性化し、

 

声もかすれた子でした。

 

 

耳カットをしさくら猫にしたものの、

 

スタッフが外に離すのはかわいそうといって、

 

懐くなるようになるまでと病院で飼うことになってしまっていました。

 

 

ひとみしりすると手紙に書いてあったとおり、

 

なかなか人慣れすることなく、

 

里親募集できる性格でもなかっため、ずっと病院で生活していました。

 

 

エイズをもっていたことから、

 

病院で飼っている他の猫たちと一緒に飼うこともできず、

 

ずっと入院室の一部屋に仮住まいしていました。

 

 

 

保護して4年・・・

 

猫エイズを発症し、

 

やせ細って、日に日に弱って、

 

昨夜亡くなってしまいました。

 

 

 

{C8032CC8-A4C3-4C4D-A85F-0A65DB0B7F3F}

 

 

避妊手術をせずにおうちで飼っていたものの

 

外で交配し妊娠してしまったのでしょう。

 

 

おうちで子猫が生まれたものの、

 

母猫の風邪をうつされてしまって、

 

免疫力がまだ少ない子猫は、風邪の症状が重く、

 

治療するにも費用もかけられない・・・

 

 

そんな理由で、きっと病院の前に、

 

親子で捨てたのでしょう。

 

 

 

 

命の大切さを知るために

 

命と向き合うことはどんなことか学ぶために

 

子供に教えるべき大人が

 

子供とともに、病院に猫を捨てる。

 

 

手紙を書いたこの子供は、

 

病院の前に母猫と子猫を捨てたことをどんなふうに感じたのでしょうか

 

そして、

 

どんなふうに今思っているのでしょうか

 

 

 

病院や保護団体の元へ猫が捨てられることは少なくありません。

 

 

どういう理由で捨てたにしても、

 

今は愛護法では罰せられることです。

 

 

 

ましてや、親とともに捨てるという行為をした子どもは、

 

どんなふうに成長していくのでしょうか

 

 

こんなことをした子が

 

捨てることに躊躇なく育ってしまっているとしたら・・・

 

この動物遺棄の問題はこれから先も続いていくのだろうと思います。

 

 

もしもこのことで心に傷を負ってるとしたら・・・

 

大人になっても、動物を飼うことができなくなっているかもしれません。

 

 

 

 

先日手紙つきで捨てられたばかりの子猫がいる中で、

 

4年前に同じように手紙つきで捨てられた母猫が命を落としたのには、

 

なんだか繋がりを感じるような・・・不思議な気持ちです。

 

 

いつかこの負のサイクルが絶たれるときがくるのでしょうか

 

 

命を育てるのには、

 

時間もお金も労力も必要です。

 

それは、人だけでなく犬や猫も一緒。

 

 

ただで保護したとしても、

 

一生育てていくのには、お金がかかります。

 

 

生きていく中で、

 

ご飯を食べたり、

 

病気をしたら治療代がかかったり、

 

ずっとただでは生きられません。

 

 

金銭的に余裕がないのであれば、

 

飼わないという勇気も必要なのだと思います。

 

 

この親子のように、

 

避妊手術を行わなかったことで増えてしまう命

 

風邪をひいても治療費が払えないからという理由で放置した結果落とす命

 

が生まれてしまうのだから。

 

 

 

線引きをする勇気・・・

 

それは飼うときも、保護するときも、必要なのだと思っています。