【シニア犬猫のこと】年だから仕方がないって言い訳にしてませんか? | 【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

鹿児島で動物病院を経営しつつ、飼い主さんがペットに1つでも多くできることを提案できる場として、ペット関連のイベントや講演をしています。
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動物病院でシニアの犬猫を飼っている飼い主さんからよく聞く言葉に、

 

「もう年だからと思って・・・」という言葉があります。

 

「老衰かなと思って・・・」という言葉もよく聞きます。

 

 

 

みなさん、何か勘違いしてません?

 

 

 

何か原因があって異常をきたしているのです。

 

年だから・・・とか老衰かな・・・というのは、ちょっと違うと思うのです。

 

 

 

本当の理由をきちんと見抜いてほしい。

 

本当の理由に気づいてあげられないから、知らず知らず症状は悪化し、

 

気がついたら手遅れとなることが多く存在するのです。

 

 

 

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(飼い主さんから話を聞いて、何が隠れているか、原因を探るのも私たちの仕事。)
 

 

 

 

 

最近食欲がない。

 

最近元気がない。

 

この理由が

 

「もう年だからと思って・・・」

 

と言われることが多いんですが、

 

 

私が診ていて思うこと・・・

 

年をとったからといって、食欲や元気がなくなるというわけではない

 

ということ。

 

 

 

20歳を迎えた猫ちゃんでも、

 

食欲も元気もあるっていう子はたくさんいます。

 

 

 

むしろ、シニアでも元気で過ごせている子たちは、

 

みんな食欲や元気がほとんど落ちることなく過ごしています。

 

 

 

つまり、食欲や元気って、生きていく上で大きなエネルギーなのです。

 

 

 

シニアで食欲や元気がなくって病院に来る子たちは、

 

だいたいどこかに問題が起きている子ばかり・・・

 

 

血液検査をしてみると、

 

腎臓が悪くなっていたり、肝臓が悪くなっていたり・・・

 

 

聴診してみると、

 

心臓病になっていたり・・・

 

 

 

つまり、何も原因がないのに、食欲や元気がなくなったいる子っていないってこと。

 

 

 

それなのに、

 

飼い主さんは、

 

「もう年だと思って・・・」

 

「年だから食欲落ちてるんだろうなと思って・・・」

 

「年だから元気ないのは仕方ないだろうなと思って・・・」

 

と済ませてしまってることが多いのです。

 

 

 

本当の理由を探ることなく、

 

年だから・・・という言葉で片付けて、様子をみていて、

 

いよいよぐったりして心配になってきたところで病院に来て診察をしてもらう。

 

 

ギリギリまで様子をみた後に診察に来るから、状態はかなり悪くなっていて、

 

治療する間もなく・・・ということもあり得るんです。

 

 

 

飼い主さんには、

 

シニアの子たちが食欲や元気がなくなってきていたら、

 

何かのシグナルなんだ

 

と思い、

 

原因を探ってほしい

 

と思います。

 

 

 

とくに、

 

若い頃、食欲旺盛だった子が食欲が落ちてくるとか、

 

散歩大好きっ子だった子が散歩に行こうとしても喜ばなくなったとか、

 

かなり病的なんです。

 

 

 

そして・・・

 

 

内臓系や骨格などの異常で食欲や元気がなくなることが多いのですが、

 

中には違う理由で食欲や元気がなくなっていることもあるのです。

 

 

 

例えば・・・

 

 

年をとってきて、

 

白内障が出てきて、目が見えにくくなってきていたり、

 

耳が遠くなってきていたり、

 

ちょっとした段差を登れなくなっていたり、

 

そういう体の変化に対してショックを受けてしまって、

 

食欲や元気がなくなっている子たちもいるのです。

 

 

 

「あ〜自分の思いどおりに体が動かないな」

 

とか

 

「飼い主さんのサポートが今までのようにできなくなっちゃったな」

 

とか

 

その子その子で考えることは違うのですが、

 

中には、自分が思っているように動けないことを歯がゆいと思い、

 

自信を失ってしまう子もいるのです。

 

 

 

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(自信を与えるように少しずつ工夫しながら介助することも大事)

 

 

 

 

 

 

そういう理由の場合は、

 

飼い主さんが、

 

「大丈夫だよ」

 

と声かけしたり

 

目が見えなくなったり、耳が遠くなったりしたことに対して、

 

飼い主さんがフォローしてあげたり、

 

自信を取り戻すようなこと(遊びや動き)を日常生活の中に取り入れてみたり、

 

そういうことをしてあげるだけで、

 

食欲や元気を取り戻すこともあります。

 

 

 

 

どういう理由で食欲や元気をなくしているのか、

 

その本当の理由をなるべく早く気づいてあげられるかどうか、

 

それが長生きの秘訣の一つだと思っています。

 

 

 

 

少しでも長く一緒にいたいと思う飼い主さんは多いはず。

 

そして、一緒にいるのであれば、なるべく元気でいてほしいと願うはず。

 

 

そう思い、そう願うのであれば、

 

まず食欲や元気がなくなった本当の理由を気づいてほしいのです。

 

 

 

一番近くにいて、

 

一番様子を見ている人は、飼い主さんだから。

 

一番変化に気づいてあげられるのも、飼い主さんだから。

 

 

 

 

私たち動物病院の仕事は、

 

異変に気づいて連れてきてくれた子たちのことを診て、

 

本当の理由が何か?

 

それを飼い主さんと一緒に探っていくことだと思っています。

 

 

 

もしも飼い主さんが病院に連れてきてくれなければ、

 

私たちが救ってあげることはできません。

 

 

 

もしも病院に来てくれたとしても、

 

ギリギリで生き絶え絶えであれば、

 

救いたくてもタイムリミットが限られていることだってあります。

 

 

 

できることなら、まだ猶予があるうちに、

 

病院にきてもらって、一緒に理由を探し、

 

その理由を一緒に解決できるように相談していきたい。

 

 

 

そう願っています。

 

 

 

だから、

 

「年だから仕方がない」と言って様子を見ることだけはやめてほしい

 

と思っています。

 

 

 

きちんと、死について向き合った飼い主さんは、ペットロスになることはありません。

 

 

何か心残りに思うから、

 

何か後悔する部分があるから、

 

ペットロスになってしまうのです。

 

 

 

すごく愛している人ほど、ペットロスになるもの。

 

 

 

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(私自身も獣医師ではあるけれど、一人の飼い主でもある。ペットロスになりそうなくらい我が犬を愛していました。でもきちんと死と向き合い、看取りました。)

 

 

 

 

 

 

でも・・・

 

本当に犬猫を心から愛してくれた飼い主さんには、

 

もう一度新しい子を迎え、新しい子と愛し合ってほしいのです。

 

 

もう飼えないと言わず、

 

もう一度愛し合ってほしい。

 

 

たくさん愛情を捧げてくれる人だからこそ、

 

もう一度犬猫を迎え入れてほしいのです。

 

 

だって、

 

一番愛情を捧げてくれる人だと思うから。

 

 

 

ペットロスになることなく、

 

一緒に死と向き合い、

 

一緒に最期を迎えらえる・・・

 

その心構えをできるように支えるのも、

 

私たち動物病院の仕事だと思っています。

 

 

 

そのためにも、

 

向き合うための時間、猶予が必要なのです。

 

 

 

だから、

 

「年だから仕方がない」と言って様子を見ることだけはやめてほしい

 

と思っています。

 

 

 

 

少しでも多くの飼い主さんに、

 

この思いが伝わりますように・・・