病気は闘うものではなく向き合うもの | 【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

鹿児島で動物病院を経営しつつ、飼い主さんがペットに1つでも多くできることを提案できる場として、ペット関連のイベントや講演をしています。
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こんばんはおんぷ

先日『病院を選ぶって大事なこと。』というタイトルでアップしたところ、

たくさんの方から賛同いただき、共感メールや応援メールをいっぱいいただきました。

ありがとうございますハート

まだ読んでいない方はコチラこれ→病院を選ぶって大事なこと。

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選ぶことの大切さをお伝えしましたが、

私自身、自分の病院を選ばれる側でもあるので、

どうしたら、飼い主さんに満足してもらえるか?

日々考えながら仕事をしています。


こないだ書いたような自分がされたことは絶対すべきではないと思っているし、

私だけでなく、スタッフたちにも周知して実践してもらっています。



自分の病院だからこそ、

自分が好きなように、

自分の理想に近づけるように、

変えていけばいいと思って、日々頑張っています。



この前、『にゃんフェス』の時に、新しいチラシを作って配布したものにも書いたのですが、


『病気は闘うものではなく向き合うもの』

だと思っています。



前回も書きましたが、

私は自分がガンになって、正直落ち込みました。

「なんで私がガンになってしまったんだろう」

「私ばかりなぜ?」

「これからどうなるんだろう?」


不安とともに、いろんなことを恨んだりもしました。



でも、結果から言わせてもらえば、

ガンになってよかった

と思っています。


あんなに悲観的になってたけど、

今は全くそんなこと思わない。


「大変な思いをされたんですね・・・」

とよく言われるけれど、

「それがあったから、今の私がいるんです。むしろ感謝です。」

と笑顔で心の底から返せるんです。


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(たくさんの気づきをもらって、今生きていることに感謝してるのです)



病気をしたことで、いろんなことを学べました。

ただ人として学んだだけでなく、

私は医師として学ぶことができたと思っています。



病気をするまでは・・・


医師として、

病気を治す立場の人間として、

病気のことを伝えたり、治療のことを話したり、これからのことを相談していました。


私が勤務医をしていた病院の院長は、とても思いやりのある先生だったので、

私にとっても、患者さんにとっても、とても理想の院長で、

きちんと飼い主さんに寄り添うことを教えてもらっていました。




けれど・・・

自分が病気をして、

いろんな病院に行ったり、

いろんな先生や看護士さんの対応を見たり経験したり、

日々の診療内容や

病気にたいしての説明、治療方針の話し方、

術後のマッサージやリハビリへの関与など、

いろんなことを『患者さん目線』で体験することができたんです。



それまでの自分とは、全く逆の立場から視点を変えてみることができたことで、

私は本当に多くのことを学んだと思っています。





同じ手術や処置をするにしても、

わんちゃんやねこちゃんは、こんな気持ちなんだな

と思うことがたくさんありました。



手術ひとつにしても、

気管チューブを入れる前に、ウトウトするように『麻酔前投与薬』というお薬を入れるのですが、

これはわんちゃんねこちゃんも、人も一緒。



人の場合は、

「これから眠くなるお薬を入れますよ~。一緒に数を数えてくださいね。」

と言われて、

麻酔の担当の先生と数字を数えているうちに、眠くなって気を失う流れ。


これって、わんちゃんねこちゃんたちも一緒で、

あんな気持ちで眠っているのだろうなぁと、

いつもあの時の自分と照らし合わせながら、麻酔をかけるようになりました。



手術が終わり、目を覚ましたときも、

先生から名前を呼ばれ、

「わかりますか~?」

と起こされ、目を開けると手術のライトがうっすら見えたと同時に、

痛みで大騒ぎ。

でも次の瞬間には、また気を失ったことを今もまだ覚えてる・・・



わんちゃんねこちゃんたちも、麻酔から覚めて気がつくと、

一瞬大騒ぎするのだけど、

次の瞬間には、またスヤスヤ眠ってしまう。



いつもこの姿をみると、

「わかるわかる。もう大丈夫だからゆっくり休みなさい」

と見守りたくなっちゃうんですよね。



私たち人間は会話をしながら、ともに理解して、行動することができるけれど、

わんちゃんねこちゃんたちは、全く理解できないまま、

こちらの都合で何かを行われることもあるんですよね。
(例えば、入院とか手術とか・・・きちんと理解できていないことも多い)


だからこそ、

私たち人間以上に、不安が大きいだろうなと思うことも多いんです。



自分が患者さんの立場になったことで、

それまで行ってきたことすべてを逆の立場から考えて、

今まで以上に不安をとってあげたいと思えるようになったんです。




だから、私はガンになってよかったなと思っています。





病気になったら、

特にガンになったら、

『闘う』

という言葉を使うことが多いですよね。



『病気に負けない』

『病気と闘う』


とよく言われる。



でも、本当は『病気』は闘うものではないんだと思うんです。



病気をすることで、きっと何かを得られるもの・・・


何を得られるのか?

それを考えなければ、得るものも得られないのだと思うんです。



私のように、何か学ぶのかもしれない。

仕事を学んだり、

人間関係を学んだり、

自分の心のあり方を学んだり、

いろんなことを学ぶ可能性があるのだと思うのです。



何を得られるのか?

この病気をもとに、何を得るべきなのか?




病気と『向き合う』ことができなければ、

得られるものは見いだせないと思っています。




そして・・・

病気と向き合って学ぶのは、自分だけではなく、

自分の周りの人にも言えること。




私のときも、私だけでなく、

私の父も私の母もそれぞれ何かを学んだと思うんです。

そして、私が勤めていた病院の院長やスタッフたちも・・・

そのとき、私という人間に関わった人たちみんなに、

病気はいろんな学びや気づきを与えてくれたと思っています。




『病気は闘うものではなく向き合うもの』



これは、私たち人間だけでなく、

わんちゃんねこちゃんたちにも言えること。




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(末っ子の病気も、私に気づきを与えてくれた。すごく大切なもの。)



病気と向き合うことで、

関わっているすべての人が学びや気づきを得られるんです。


だから・・・

おうちの子が病気になったことを悲しんだり、悔やんだりするだけではなく、

このことをもって、私たちは何を学ぶべきなのか?

それを考えることこそ大事なのでは?


と思うんです。




病気は闘うべき相手ではありません。

勝ち負けで判定する相手でもないんです。



もしも病気に勝ったという言葉を使うのだとしたら、

家族が一致団結して、病気と向き合い、みんなで何かを学び乗り越えたときだと思っています。



おうちのわんちゃんねこちゃんが病気になったとき、

一緒に病気を受け止め、乗り越えていくことが大事だし、

その病気とどう付き合っていくか?考えることこそ大事だと思っています。



この気持ちが根底にあるからこそ、

私は、飼い主さんとわんちゃんねこちゃんが病気と向き合える時間を提供できるように、

どんな緊急の病気だったとしても、

そのための時間を取れるように最善を尽くすようにしています。



向き合う時間なしで命を落としてしまったら、

そのときの悲しみは大きなものになってしまうから。



もしも命を落とす可能性がある病気だったとしても、

その病気から、飼い主さんとわんちゃんねこちゃんたちの絆が深まることがあるのであれば、

それは一つの答えだと思っています。



そのお手伝いをするために、

きちんと病気と向き合う時間を作るために、

私は一生懸命仕事をしているし、

ホリスティック療法も取り入れているのです。



そして・・・

私も含め病院のスタッフは、常に飼い主さんとわんちゃんねこちゃんたちと同じように、

それぞれの病気から学ぶべきことがあるのだと思っています。



どのケースも、自分は家族の一員だと思うくらい、

飼い主さんやわんちゃんねこちゃんたちと寄り添って、

病気と向き合う存在であってほしいと思っています。



どの家族からも、それぞれ私たちも『学び』を得ているはず。

いつもそのことに感謝を忘れないようにしたいと思っています。

私だけでなく、スタッフ全員がそういう気持ちである・・・

ル・オーナはそういう場所でありたいです。