避妊手術って痛いことだし、病気じゃないし、必要なければさせたくないというあなたへ | 【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

鹿児島で動物病院を経営しつつ、飼い主さんがペットに1つでも多くできることを提案できる場として、ペット関連のイベントや講演をしています。
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こんにちは。お久しぶりのブログとなります。

今日は、2月22日(にゃんにゃんにゃん)というわけで、ねこの日なんです。

ねこちゃんにとってハッピーな出来事がありそうなこんな日に、

うちのれんげちゃんは、避妊手術をすることに・・・


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(はい、お決まりのおかしなポーズのれんげさん笑後ろ足の中に前足を入れることってあるか?笑



なぜ避妊手術が必要かについては、

以前ブログにアップしたことがありました。

まだ読んでないという方はこれ→ 避妊手術って必要?



ねこちゃんは、乳腺腫瘍になった場合ほぼ悪性のことが多く、

乳腺腫瘍を取り除く手術を終えた後も再発をしたり、

肺などに転移することが多くあるのです。



避妊手術するタイミングで、乳腺腫瘍の予防できる確率も変わってきて、

生後半年までの間に手術すると、ほぼ100%予防できるのですが

それ以降に関しては予防効果はないと言われています。



なので、乳腺腫瘍の予防という形であれば、

生後半年経ったらすぐに避妊手術したほうがいい
とも言えるでしょう。



ただ・・・

うちのれんげのように、保護した子で何歳かわからない子の場合、

急いで手術しても、乳腺腫瘍の予防にはならないかもしれない

ということを頭に入れておかなければなりません。




避妊手術しても、乳腺腫瘍の予防ができないかもしれない。

それなのに、なぜ避妊手術をする必要があるのか?



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(これまた、おかしなポーズのれんげさん。まともな格好の写真てあるかしら?笑



それは、他の婦人系の病気(子宮蓄膿症や卵巣嚢腫など)を予防するためや、

発情のストレスを取り除くためでもあります。




婦人系の病気に関しては、中高齢(早い子は6歳くらいから)になると、起こりやすくなります。

病気になってから手術となると、

麻酔のリスクが高くなるので、

病気になる前にしておくほうがいいこともあります。




それから、発情のストレスに関して・・・



発情を迎えると、


「ニャァ~オビックリマーク


と大きな声で鳴き続けることが多くなります。



「うるさいなぁ

と飼い主さん側がわずらわしく思うことも多いのですが、


ねこちゃんたちからしたら、子孫を残すための本能的な活動のひとつ。



群れで生活することがないねこちゃんたちにとって、

自分と同じ仲間を見つけるには、

大きな声で鳴いて、合図する必要があるのです。



この鳴き声があまりに大きすぎて、

そしてあまりに治まらないことから、

慌てて避妊手術のお問い合わせをいただくことも多いのです。



お家で飼っていて、自分たちさえ鳴き声を我慢すれば、

「発情してても、まぁいいや~」

という考え方の人もいらっしゃいます。



でも・・・



ねこちゃんたちからしたら、

大きな声で鳴き続けるということ

探しても相手が見つかる環境ではないのに、本能的に動かざるを得ない状態

発情に入るとご飯も喉を通らないこともあるということ

はストレスでしかないんです。



人間の都合で、人間の生活スタイルに合わせて飼っているわけですが、

もしそうするのであれば、こういった部分もケアしてあげるべきなのでは?

と思います。



ストレスは、精神的なものだけではなく、病気を呼び起こすこともあります。



特にねこちゃんに関しては、ねこエイズや白血病のウイルスを持っている場合、

ストレスは発症を早めてしまうことに繋がります。




本能的に暮らすということは、今の世界では不可能ですよね。



人間に飼われている時点で、本能的に生きるというのは難しいのです。

そうだとしたら、

できる限りストレスがない飼い方をしてあげるのも、飼い主としての責任なのかな

と思っています。



さてさて、避妊手術のお話に戻りますが、

手術を敬遠する理由のいくつかの疑問や不安に対して、

お答えしたいと思います
アゲアゲ



今は昔と違って、麻酔のリスクってかなり低くなっています。


今は人と同じように、『気管チューブ』といって気道確保をした状態でガス麻酔にて手術をするんです。


ガス麻酔は、注射麻酔と違い、少しずつガスの濃度を変えて、麻酔の深さを調整できます。

麻酔の深さをすぐに調整できる方法だからこそ、安全なんですよ指差し



それから、傷の大きさのこと・・・


ねこちゃんの避妊手術のときの傷口は、ほんのわずか。

1~2センチ程度。

1針~2針縫う程度なのです。


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(今日のれんげちゃんの傷。わずか1センチあまり。爪の幅よりもちっちゃいんだから。ね?ちょっとだけでしょ?)



病気でもないのに、痛い思いをさせるのは・・・

と言われる人もいらっしゃいますが、

1~2センチで終わるし、

痛み止めの注射も使うので、

当日から元気な子がほとんどなのですよ。



もし婦人系の病気をしたり、乳腺腫瘍になったりして手術をするとなると、

傷口はもっともっと大きくなります。


そのときのほうが、もっと痛いと思うし、

その大きな傷口は、前もって避妊手術をしていれば、防げたかも・・・となり得るんです。



歳をとってから必ず婦人系の病気になるとは限りませんが、

もしかしたら・・・

ということを踏まえて、

今すべきことかどうか考えてみてもいいのでは?と思います。



手術後の心配・・・

これも問題ありません。

だいたいの子が翌日から普通に飛び跳ねて生活します。
(早い子は、手術直後から元気に飛び跳ねています苦笑

傷口を気にして舐める子もたまにいますが、

痛くて動けないという子はまずいないかな・・・



今日のお昼に手術をしたれんげも、

しっかり夜ご飯を食べて、毛づくろいなんかしちゃってます。


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(傷の周りが気になるらしく、せっせと毛づくろい中のれんげ。)



少しだけぼんやりしてますが、

おそらく明日にはいつものれんげになってることでしょう・・・笑



絶対避妊手術をしたほうがいい

というお話ではありません。



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(はぁ、なんかすごい今日はいつもより眠いわぁ~おやすみ



ただ、人間の主観的な意見や思い込みで決めるのではなく、

実際ねこちゃんたちがどういう思いでいるのか、

そして、実際手術をしたらどうなのか?

を知った上で、判断してほしいのです。


このことを機に、

避妊手術がそんなに怖いものではないこと、

リスクや痛みがそんなにあるわけではないということ、

手術後の不安はそんなにないこと、

を知り、シニアになる前に手術をすること、もっと言えば、生後半年で手術をすることを考えてみてもらえるといいなと思っています。