シニア犬に多い『脳の病気』介護の仕方で大きく未来は変わる | 【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

鹿児島で動物病院を経営しつつ、飼い主さんがペットに1つでも多くできることを提案できる場として、ペット関連のイベントや講演をしています。
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シニア犬と幸せに楽しく暮らせる方法をお伝えしている

アラフォー獣医師 浜崎菜央です。
 

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(セミナー中デモするのに見えないということで、台の上で手放しでしていますが、普段は本当は床で支えながらしています。)




世の中には、

年老いていく自分のわんちゃんねこちゃんに対してどうしたらいいんだろう

と戸惑っている人って意外に多いもの。

そして、

寝たきりになったら、あとは介護していくしかない

と思い込んでいる人も多いもの。



シニアになると、『前庭疾患』や『脳腫瘍』など脳の病気が多発します。

とりわけ『前庭疾患は、シニアに多い病気の一つです。



『前庭』とは、平衡感覚をつかさどる部分。

ここに問題が起きると、体のバランスを保てなくなってしまうんです。



なので、『前庭疾患』が起きた子は、

立てなくなったり、立てたとしてもフラフラしていたり、

首が斜めになってしまったり(斜頚と呼ばれる状態)、

ぐるぐる同じ方向に回って、まっすぐ歩けなくなったり
します。


バランスが取れなくなることで、

めまいや気持ち悪さなども起こります。



私はよく飼い主さんに説明するのに、『乗り物酔い』や『二日酔い』を例にあげます。



天井や目の前がグルグル回って、気持ち悪くなりますよね?

床がまっすぐ見えなくて、千鳥足になってフラフラすることもありますよね?

何かにつかまっておかないと、バランスが保てないこともありますよね?


気持ち悪さから吐き気がおきることもあるし、実際吐くこともあるし、

気持ち悪さから食欲なんてなくなりますよね?



そんな状態になるわけです。





それ以外に『前庭疾患』では、『眼振(がんしん)』が起きることがあります。



『眼振』とは、

自分の意思とは関係なく、目が上下や左右に繰り返し動いている状態のこと。



この状態だと、余計にめまいや気持ち悪さが起こるわけで、

起こっている本人はかなりしんどい状態なのだと思います。



いずれにしても、こんな状況では、食欲や元気があるはずないっビックリマーク



まずは、少しでもこの症状を軽くしてあげることが大事なのです。



私の経験からして、この症状が出てすぐに来院し、治療開始した場合、

2、3日中には症状が改善し、食欲や元気も出てきます。

軽い症状の子の場合は、翌日には改善していることも多くあります。
(脳腫瘍の場合は別ですが・・・)




さて本題に・・・



この治療開始後からの飼い主さんの対応が大事なのです。



『眼振』があったり、吐き気があったり、食欲不振の状態のときは、おやすみさせて、



症状が落ち着いてきたら、少しずつリハビリすること。

これが大事。



リハビリというと、バリバリ運動する(例えば散歩とか・・・)とイメージされがちなのですが、

そういうことではないんです。



ほんのちょっとでもいいので、動きをつけてあげることが大事なんです。
 


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(この時は全く動けない状態なので、注射器を使ってお水をあげています)




元気になってからでも、

寝たきりの状態のままでお水をあげれば、口に入れられた分飲むだろうし、

自分は全然動かなくていいので、楽をしている状態なのです。



でも、楽をさせれば、その分、筋肉を使わなくなります。


1日筋肉を使わないだけで、

1日寝たきりの状態になるだけで、

筋肉は凝り固まってしまって、動かしにくくなるんです。




状態がよくなったのにもかかわらず、

お水をあげて受動的に飲めるようにしてしまうと、

寝たきりを加速してしまうことになるのです。




介護の勘違いで多いのがこれビックリマーク



飼い主さんは良かれと思って介護しているのだけれど、

実は筋肉を凝り固まらせてしまって、

わんちゃんが復活できない状態(再び立てることができない状態)にしてしまっているのです。




じゃあ、どんな感じにするか?




それは、ほんのちょっとだけ体を起こしてあげてお水を飲ませてみるということ。


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(上半身を起こして倒れないように少しだけ支えてあげて、自力でお水を飲ませています)



ほんの少しだけ上半身を起こしてあげて、

支えながらでもいいので、

壁にもたれさせながらでもいいので、

自分でお皿からお水を飲ませるようにする

これがとても大事なことなんです。




これが上手にできるようになったら、

次は、レベルアップアゲアゲ



おやつやご飯を使って、

首を左右に、前後ろに動かす練習をしていきます。


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(少し顔を支えながら、おやつで誘導して、顔を動かすようにもっていきます)




これがスムーズにできるようになったら、

今度は重心を前にかけるようにする練習をします。


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(この頃には、立てるようになっちゃうんですよアゲアゲ



さらに、これができるようになったらあともう少しアゲアゲ

今度は前足を一歩前に出すように促しながら練習します。




これを繰り返していくと歩けるようになるわけです。




もちろん、これだけでなく、後ろ足もマッサージや運動をするのですが、

シニアの子は少しずつ負担が少ない方法で

なおかつ、

飼い主さんが苦にならない程度で進めていくことが大事
になります。




このリハビリ中ももちろん介護は必要です。

ただ毎日同じように介護をするわけではないということ。



本人の状態によって、

そして、本人の動き方によって、

介護の仕方を変える(リハビリをする)ことが必要なのです。




そうすることで、また歩けるようになるのですから。




こうやって少しずつできるようになっていく姿を見ると、

介護も楽しくなると思うんですハート







介護や寝たきりの日数が長くなればなるほど、

復活するのにも時間がかかるし、復活できないこともあります。
(とはいえ、うちの病院に来た子はだいたい復活していますが指差し



だから、寝たきりになったら、介護が必要になったら、落ち込むのではなく、

前向きに気持ちを切り替え、

1日も早く少しずつ前に進めるように、支えてあげることが大事なんです。




写真だけでは伝わりにくいので、

今度動画をアップしたいなと思っていますよハート