命をいただいてわたしたちは生きている | 【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

鹿児島で動物病院を経営しつつ、飼い主さんがペットに1つでも多くできることを提案できる場として、ペット関連のイベントや講演をしています。
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連休最終日

みなさんいかがお過ごしでしょうか?

私は朝からいつものようにお仕事・・・ペットと飼い主さんの笑顔のためにがんばる

アラフォー獣医師 浜崎菜央です。

先日、鹿児島市動物管理事務所にて動物慰霊祭が行われました。

毎年参加させてもらっているのですが、今年も参加させていただきました。



昨年度鹿児島市動物管理事務所で命を落としたわんちゃんは、19頭、ねこちゃんは900頭近くいたそうです。



ここで勘違いしてほしくないことは、

動物管理事務所は昔のように殺処分していないということ。



「動物管理事務所は、毎週殺処分をしている」

と未だに思っている人が多いのだけど、

実際はそんなに行われていないんです



むしろ、動物管理事務所の方たちは、

終生飼養ということに着目して、

いかに寿命を全うできるかと考えています。

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(現在の動物管理事務所のわんちゃん収容場所です綺麗になったの



わんちゃんに関しては、

毛が伸びていたり、皮膚トラブルがあったりする子たちはトリミングをしてあげ、

ある程度の病気に関しては、獣医師会と連携し、治療をしてあげ、

しつけが必要な子に関しては、できる範囲でトライして、

譲渡できるようにしています。



譲渡のタイミングを一度逃したとしても、

1年以上猶予をもって、譲渡されないか何度もトライし続けています。



だからこそ、殺処分数が減少しているのです。



ただどうしても人間と共存できないような狂気的な子に関しては

そうせざるを得ないこともあります。



それから・・・


夜泣きや要介護の子の面倒が見れないなどの理由から手放された子たちに関しても、

動物管理事務所ではきちんとケアしています。



どうしてあげたら、床ずれができないか、

どうしてあげたら、ケアしやすいか、

これも獣医師と連携しながら、できる範囲のことをし、寿命を全うできるようにしています。



ただ・・・

そういう状態で入ってきているので、もちろん亡くなってしまうこともあるんです。


これは、動物管理事務所の方々のケアが行き届いていないからではなく、

きちんと寿命を全うできているという判断でいいと思います。




動物管理事務所の方々は、

保護されている子たちをいかにその子らしく生きらせられるか

いつも考えてくださっています。


決して、殺処分することだけを考えているわけではない


これは理解していただきたいなと思います。


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(これは、新しくできたねこちゃんとのふれあい部屋


ねこちゃんの殺処分数に関しては、

まだまだ努力が必要ですね。


これには、わたしたち獣医師や市・県のできることがまだたくさんあると思っています。


現在、地域猫活動といって、

野良猫を3名以上の地域の方が責任もって管理するという約束のもと、

獣医師会と市が避妊去勢手術を全額負担するという活動をしています。


それとは別に、

観光地等に生息する猫の不妊手術活動といって、

住宅街以外の観光地(城山など)に生息する野良猫を捕獲し、無償で避妊去勢手術をするという活動をしています。


また、動物愛護週間には、

獣医師会による「避妊去勢手術の助成金」の申し込み・抽選も行われています。


こういった活動によって、

少しでも不幸な子たちが生まれないようにしているわけですが、

まだまだ不完全ではありますし、

なかなか終わりのない活動でもあります。



野良猫がもともと増えていった理由は、人間にあると思います。

飼い猫で不妊手術をせず外に出しているおうち、

飼い猫が出産して困ったから子猫を捨てたおうちなどがあるから、

野良猫が増えていったはず。


野良猫同士は、さらに繁殖し、増えていく。


それに関して、

「かわいそう」と言い、ご飯だけを与え、不妊手術をしない無責任な人もいる。


ご飯をあげるなとは言いません

ただご飯を与えるということは、それで健康な体を維持できるということ。

そして、出産もできてしまうということ。


ただご飯をあげているだけという行為が、

野良猫の寿命を延ばしていることにつながるんです。




もしご飯を満足に食べられなければ、健康状態は悪く、早くに命を落としているかもしれません。


もしご飯を満足に食べられなければ、妊娠しても、お腹の子に栄養が行き届かず、出産できないかもしれません。


ご飯を与えるということは、そういう可能性を与えているということを自覚していただきたい


そして、

「うちの子は男の子だから、出産しないし」

と言っている人


おたくの子が、メスの野良猫を妊娠させ、出産させているかもしれないことを自覚していただきたい。


たった1頭の交配で、1~10頭生まれるんです。


(ハワイにいったときに収容所にあった看板なんだけど、1年で3頭のオスとメスの猫は、32767頭になるという図式おそろしい数



その生まれた子たちの面倒を、あなたがみるのであれば構いませんが、

野良猫がそれだけ増えるということを自覚していただきたい。


うちで増えなければいい


その考えをもつ人のおかげで、野良猫が増えるのです。


そして、同じ考え方の人がいればいるほど、

野良猫は増えていきます。



その結果が、ねこちゃんの殺処分数900頭近くなのです。



1000頭近くあったねこちゃんの殺処分数が減ってきているのは、

保護団体の方や獣医師会や市・県のいろんな取り組みのおかげでもあると思っています。


もちろん、住民の方々の意識の変化もあると思います。



もっとみんなの意識改革がされることを願っています。



この世の中は、わたしたち人間が暮らしやすいように、人間の都合で成り立っているということを忘れてはいけないですよね。


私たちが生きていく上で、たくさんの命をいただいています。


殺処分場で亡くなっている命も、人間の都合で失った命。


わたしたち人間が住みやすいように淘汰されているものなのです。


少しでも、お互いが共存できるように、お互いにとって住みやすい街になるようになってほしいです。


今度の日曜(10月18日)に

犬猫と共生できる社会をめざす会さんが開催する写真展とコラボして

メディカルアロマのワークショップとペットマッサージ講習を行います
アゲアゲ



わたしたちの活動に参加してくださった方が

譲渡会のことを知っていただけるといいなと思っています。