「パリの砂漠、東京の蜃気楼」

金原ひとみ



少し前から

この人の書く文章がするすると心地よく

脳内に取り込まれる

金原ひとみさんの本を初めて読んだ大昔

苦手だったんだけどなぁ

苦手意識から遠のいてたのだけど

久しぶりに手を伸ばすと

全然変わってた


作家のタッチが変わったのか

わたしの感覚が変わったのか


子供のことを書いてた作品から

とっつきやすくなった気がする

「子育て」という共感ポイントができたからかな


共感って大事だーー

同郷

食の趣味が同じ

推しが同じ

星座が同じ


なんでもいける






長女はいつか気づくだろうか。ふとした拍子に「なんか悲しいなあ」という時、必ず私が「私も悲しいんだ」と答えていることに。そして気づく。私は幼い頃、悲しみに共感してくれる人が欲しかったのだと。そして今、もはや私は悲しみに共感してくれる人を欲していないのだと。私の悲しみなど露知らず、自ら望んで修行に赴く人に救われているのだと。

 そう思い至ると、なぜか晴れ晴れした気持ちになって,ピッタリとウエストマークされたワンピースを脱ぎ、この間フェスで買ったパンTに着替えると、私はストロングのプルトップを開け、死なないために音楽を聴き、死なないために小説を書き始めた。