『ファーストラヴ』 島本理生



父親を殺した環菜は、小さい頃から自傷行為を繰り返してた

血の繋がっていない父に恐怖を感じ、嫌なことを強いられても、逆らえないままの生活

母にも頼ることができず、自分を否定するなかで、頼れるのは恋人の存在だけ

でも、その愛情すら、本物ではなかったと後で気づかされる


臨床心理士の由紀は、この事件を本に書こうと、昔の恋人で弁護士の迦葉と共に、環菜に接する

由紀も、そして迦葉もまた、親により歪んだ過去を持つ

だからこそ、彼女のことが理解でき、だんだんと呪縛から解き放つ手伝いができたと思う

いつも怯えて自己否定し、自分の気持ちもわからない環菜が、裁判が始まる頃にはやっと自分の心に向き合うことができて、本当のことを語り始める

クローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバー


親の虐待による悲しい事件は
ごく普通に愛情もって育てられた私には、到底理解できない

環菜は直接暴力を振るわれた訳ではないけれど、こういうのも、一種の虐待

親にも暗い過去がある場合
こういう連鎖を断ち切るのは難しいらしい

環菜みたいに、事件をきっかけに解放され
自分の存在価値を見出すことができたなら
それも意味のあるものだったのか

それよりも、由紀の旦那さん 我聞さんのような、愛情溢れた人に出会えていたら
そんな凄惨な事件も起こらずに
解決できたかもしれない


恋愛小説ではなかったです

表紙の、心閉ざしたような女の子とガイコツを見て、なんとなくわかったけどね