kome

「白いご飯がないと生きていけない」と言う人がいる。
本当に生きていけないわけではないから、白米のない食生活は嫌だというだけのことだ。元々白米に拘りのない僕は、毎食パンでもパスタでもいいと思っている。お米は、時々タイ米のフライドライスがあればいい。

そんなわけで、我が家はお米の消費量が極端に少ない。いいお米を買っても古くなってしまうので、ずっとスーパーで無洗米を買っている。無洗米といっても洗わずに炊けるわけではなく、数回水洗いをする必要がある。無洗米とは研がずに炊けるという意味なのだ。そう、お米は洗うのではなく研ぐのだ。誰もが知っている笑い話に、「米を洗っておけと言われた若い女性が、洗剤で洗ってしまった」というのがある。そんなヤツはいないだろうと思いたいが、実際、お米を研げない人はいるのだ。
研ぐとは、読んで字の如く、米粒と米粒を擦り合わせ、細心の注意を払い研ぐ。刀を研ぐのと同じだ。心を込めて研いでこそ、美味しいご飯が炊ける。いい加減にするとなんとも嫌な匂いが残り、食べられない。白米はあまり食べないとはいえ、時折、美味しい新米をいただいた時には、ワクワクしながら研ぐ。しっかり研いで、研ぎ澄まして炊く。

そうして炊いたご飯には、余計なおかずは要らない。チリメン山椒と味噌汁があればいい。


cocoa

街には自動販売機が溢れている。
海外からやってきた人が東京で一番驚くのは、人の多さでも車の数でも騒音でもなく、自販機の数だという。それくらい、東京には自販機が多いのだ。それこそ10メートル歩けば自販機がある。それも1台ではなく、2台、3台と並んでいる。常識的に考えれば無駄としか思えないが、これがまた上手に住み分けているから驚いてしまう。人はそれぞれ、自分の好みの飲み物、好みの味を持っている。コーヒーならGeorgiaがいいとか、コーラならPepsiでなければ嫌だといった具合だ。特にお茶の場合、伊藤園以外飲まないとか、サントリーでなければ要らないなど、うるさい人が多い。たかが100円から120円、130円のことで贅沢を言い過ぎだろうと思うのだが、そんな我が儘を見越して、様々なメーカーの自販機が軒を連ねる。
特に冬には、コーンスープだのお汁粉だの甘酒だの、余計な物も登場する。

ココアも、冬になると自販機に入る季節商品のひとつかも知れない。普段甘ったるい飲み物を口にすることはないが、寒い季節、風に吹かれて歩いていると、つい手を出してしまう。手の中で熱い缶を転がし、しばし暖を取り、おもむろにプルトップを引く。甘いココアの香りが鼻をくすぐり、ちょっぴり幸せを感じる。そっと唇を寄せ、思い切って、一気に口へ流し込む。

そして、そして・・・。
濃厚さも芳醇さもなく、ただただ甘くミルク臭い薄いココアに、気持ち悪くなるのだ!





currydon

朝、中学校の同級生から電話がかかってきた。
高校、大学と別々の道へ進んだが、その間もずっと遊び仲間であり続けた友人であり、お互いに誤魔化しのきかない仲だ。
久し振りに会い、お気に入りの店で蕎麦を食べ、煙草を吸いたいという彼の希望で、近所の喫茶店へ入った。

仕事を息子に譲り、一人でのんびりしたいとのことで、ハワイにするかタイにするか思案中とのこと。もちろん、ハワイを勧めた。ずっと、僕がハワイへ渡ったら遊びに来ると言っていたのに、こちらがグズグズしている間に追い越されそうだ。来年早々、タイ、ハワイと続けて偵察に出かける予定とのこと、どちらが彼に合うのか判らないが、まずは出かけてみるのはいいことだ。じっくり見て、感じて、自分の居場所を見つけてもらいたい。
それにしても、理由はどうあれ、気の合う相手とハワイの話で盛り上がるのは本当に楽しい。
店を出て彼と別れ、冷たい空気に触れ、ハワイへの思いが、また強くなった。